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あなたの化粧には力がある。「女王の化粧師」

 3巻の電子版配信決定おめでとうございます!!
 この「女王の化粧師」も本当に好きで、書籍化作品ではあるけどもっともっと読まれて良いと思う(そして願わくば2,3巻も紙で出てほしいし続きも出てほしい)ので、紹介記事を書くことにしました。というか3巻が出るのが嬉しくて……。


あらすじ

女王と王女を立て続けに失い、五人の候補者が次期女王の座を争う、芸妓の小国デルリゲイリア。花街の化粧師であるダイの前に、ある日、女王候補の遣いと称する男が現れる。男はダイを女王候補の専属にと誘いをかけるが、その候補は、玉座に最も遠いと侮られる娘だった。
混迷する大陸。足掻く国々。その影にあった、一人の化粧師の物語。異世界王国FT。

ーーこのお話は、女王候補が史書に名を残す名君になって、主人公カップルが大恋愛の末に結婚するハッピーエンドです。
        作者さまあらすじより


レビュー


 この記事を書くために読み返したけど、やっぱり面白かったな、と余韻に浸りそう。いろんな要素が凝縮されているけれど、ごちゃごちゃしてなくて読みやすい。お仕事小説なところも、恋愛もファンタジーらしさもぎゅぎゅっと詰まっているけど、整理されているんです。
 主人公のダイは化粧師として雇われるのですが、そのダイが化粧をするシーンは読んでいて惚れ惚れしちゃうし、側近として働くようになってからの、権謀術数ファンタジー! なところも面白くて好きです。ときおり挟まれる、胸をわしづかみにされるような恋愛シーンも、世界の秘密に徐々に迫っていくのも、全部が素敵。伏線がびっしりはられているけれど、後から読み返したり、話が進んだりすると、あれだ! ってなるのも楽しい。登場人物もたくさんですが、混乱せずするっと楽しめてしまうのが魅力だなと思います。

 そして、ダイと、ダイの仕える女王候補マリアージュさまとの主従関係と二人の成長がはてしなく好き。
 あらすじにもあるように、マリアージュはすぐに癇癪を起こすようなわがまま放題で女王候補のなかでも一番王座に遠いとされているけれど、最終的に素晴らしい君主として成長していきます。そして、そんなマリアージュの側近であるダイも、彼女を支えるために成長していくんですね。そんな二人が成長しあえるのは、他の理由や元々の素質もあるけれど、やっぱり一番は互いの存在があったからであって、この二人の関係性がすごーく良いなと。
 そして、マリアージュの君主としての姿がめちゃくちゃかっこよくて、マリアージュさま、ついていきます!ってなくらいなので、そこはぜひ実際に読んでいただきたい。女王選でするスピーチがもう本当に……! 勝手に泣きそうになるくらいかっこいいし、マリアージュさまらしくて好きです。

 あとはやっぱり主人公カップルの関係性のよさ! 恋愛感情、ではあるんですけどいろんな事情が絡みあってなんともいえない感情をお互いに抱いているんですね。お互いにお互いの本質が見えていて、それでも相手の丸ごとが好きで……みたいな。で、この恋愛要素はたまーにしか出てこない(上のように事情があって恋愛モードになれない)のですが、その時たま現れる恋愛シーンがとても切なくて、大切で、そしてあまーいので、これはもうそら恐ろしいくらいすてきですね。あぁー、ここの魅力も説明しきれないので読んでください!

 伏線がしっかりはられていて世界の秘密に迫っていく、どっしりとしたファンタジーらしさと、主人公たちが頑張ってお仕事をして国をつくりあげていく様子の緻密さ、そして彼らのなんともいえない関係性がとっても魅力的なお話だと思います。こういう要素が好きだなーって方にはぜひ!

 そして! この「女王の化粧師」は、1巻が紙の本と電子版で、2巻が電子書籍オンリーで発売されています。web版は情報も描写濃厚ですが、書籍版だとすっきりさっぱりわかりやすく! という印象です。さらに3巻の電子書籍が8/12に発売となるので、これを機にどうぞ! わたしはどっちも読んでて楽しかったです。

基本情報

女王の化粧師
著:千 花鶏
完結済長編小説
小説リンク: 
小説家になろう
カクヨム
個人サイト BARROCO 


ビーズログ文庫から書籍化されています。
詳しくは https://bslogbunko.com/news/news/entry-10452.html にてご確認ください。



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