【親と介護と私】親が認知症・後見人になる?ならない?
うちの父は認知症で、もう誰のことも覚えていないし、自分の名前も分からない。そんな父の後見人になったのは、祖母からの父への相続が控えていたからというのが一番の理由だけれど、「失敗は繰り返さない」という教訓もあった。
後見人になることでのメリット・デメリットはどちらもあるが、不動産や証券などの財産があるなら私は「やっておいた方がいい」と断言する。なぜなら、後見人を面倒くさがった結果、大変な目に遭っている人を知っているから。
実は、祖母(父の母)も認知症で、亡くなる前の15年ほどは、食べて寝て、ぼんやりしているだけの人だった。その祖母が認知症かも?となったとき、私は父に成年後見人になることをすすめた。
なぜなら、祖父が亡くなったときに相続税が高いからと、ほぼすべてを祖母が相続する形にしていたので、財産というもののほとんどが祖母名義になっていたから。
その頃はまだ祖母も、自分の名前も言えたし書けたし、意志もしっかり伝えることができていたので、父が後見人になるための手続きは十分できたはずだ。
いったんは父もその気になって、後見人になろうとした。しかし、知り合いの税理士さんに後見人のことを頼んでみる、と言って聞きに行ったあとに「やっぱりやめとく」と言い出したのだ。
理由は「面倒くさい」。
税理士さんが、後見人になったら定期的に財産状況を報告しないといけないと言ったから、と言う。アナログな父にとって、それは非常に面倒くさいと感じたのだろう。
その頃、父が会長をしていたサークルの名簿やら収支報告も、私にパソコンで作ってくれと毎回頼んでいたくらいだから、裁判所に報告する書類と考えただけで面倒だと思ったのだろうと思う。
それを聞いた私も、「父が後見人になったら、書類関係は絶対全部私に丸投げでやらせるに違いない」と思ったので、それ以上は強くすすめなかった。
だけど、今は本当に、強く、強く、あの頃の私に言ってやりたい。
「お父さんに私が面倒なことは全部やってあげるから、おばあちゃんの後見人になった方がいいって押せ!!後見人にならせておけ!!」と。
そのとき思った「面倒くさい」が、今何倍にも膨れ上がって結局私に全部覆い被さってきている。
後見人を面倒くさがった結果、大変な目に遭っている人、それは父と私。
父が祖母の後見人になってになっておいてくれれば、父の頭がしっかりしているうちに対処できたことはもっとあったと思うし、今の問題はもう少し小さく出来たかもしれない。
そして、こういう問題は高齢化社会において、これから多くなってくると思う。うちのように亡くなった祖父母の遺産相続をするときに相続する親が認知症とか、三世代のうち上の二世代が認知症とか。
これからは未来を予測するというか、しっかり想像することがより重要になると思う。うちは大丈夫、うちに限って…というのではなく、もしも、もしかしたら…で考えていかないとえらい目に遭う。
それは父と私の任意後見契約書を作ったときに、この想像ができていなかった…と今、まさに悔いているからだ。
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