この夏、人生最高のくずきりと出会った話【和風喫茶「大黒屋本店」@名古屋】
最近食べたくずきりが、とんでもないほど美味しかった。
おいしいものを食べてるときって、ごく自然に食べることに集中してしまう癖がある。
目と鼻と舌、とにかく使えるものぜんぶ使って、全力で味わう。
今回出会ったくずきりで、久しぶりにそんな体験をした。
☀️ 🍉 🎐
「コーヒーととても合う和風喫茶」という、Googleの口コミに惹かれて、名古屋栄にある「大黒屋本店」を訪れた。
気合いをいれて、開店と同時に入店した。
お店の看板メニューのコーヒーとくずきりのセットを1000円で注文する。
小さい店内に、客はわたしともう1人、初老のおじさんだけだった。
おばあちゃんの家みたいな内装で、おばあちゃんの家にあるような龍の木彫りの置物とかがあった。
くずきりとホットコーヒーが出てきた。
まずは、コーヒーをいただく。
おっ、これは良いコーヒーだ。
酸味と苦味のバランスが良く、コクもある。
甘いものと合いそうなコーヒー。
わたしは以前コーヒーに関する仕事をしていたため、酸味のあるおいしいコーヒーのことを考えると、唾が出る。梅干しみたいなもんだ。
このコーヒーを思い出しながら書いているだけで唾が出てくる。
こちらのコーヒーがお気に入りすぎて、どこで粉を買っているか聞いてみると、近くのコーヒーカフェの「ボンタイン」で粉を買っているという。
このカフェもいつか行ってみたい。
さて、くずきりの見た目の美しさをゆっくり堪能する。
透明でツヤツヤな帯が、氷と浮いている姿は、官能的で、なんだか女子高生みたいだと思った。
部活を終えた夏の女子高生。さわやかでみずみずしい。
くずきりに箸を伸ばす。
つるんとした食感のくずを、上品な甘さの黒蜜のシロップに浸して食べる。
喉をなめらかに滑り落ちた。
正直、くずきりにはそんなにおいしい食べもののイメージはなかった。
なかったんだけど。
今まで食べたくずきりってなんだった?
上品な甘さなのに、不思議なコクがある黒蜜のシロップが病みつきになる。
トゥルンとしたくずが喉を滑り落ちる食感にも病みつきになる。
えっ、すごく美味しい。
くずきりってこんなにおいしい食べものだったの?
コーヒーと交互にちびちび味わいながら食べる。
コーヒーととても合う。
やっば、Googleの口コミ通り。
Googleの口コミが妙に気持ちのこもったものばっかりだったのが印象に残っている。
次の週末に再び「大黒屋本店」にきてしまった。
だって、前回のくずきりの美味しさは、ただ喉が乾いていただとか、幻だったかもしれないでしょう?
この年になると、すぐ思い出を美化してしまうから。本当においしかったのか、確認したい。
今回は土曜日の12時30分に来店。
毎日数種類作っている、生菓子はすべて売り切れていた。
かき氷もおいしいって評判だったから、今回は宇治抹茶と黒蜜のミックスを頼んでみた。
実は今年初のかき氷。
毎年かき氷は食べているのに、その年のはじめてのかき氷ってわくわくする。
かき氷に過度の期待は禁物と、何度も見た目麗しいかき氷に裏切られた渋い経験から学んでいた。
まあ、まずいとかではないんだけどさ。
食べてみる。
これは………これはこれはこれは。
「すいませーん。あんことバニラアイスをあとからでも追加できますか??」
味が薄かったのかって?
違う。そうじゃなくて。
あまりにもかき氷が美味しすぎた。
あまりにも宇治抹茶の香りが高くて、黒蜜が格調高くて、氷が舌の上で雪のように溶けてはかなかったから、
ここのかき氷の他のトッピングにも試したくなった。力試しであり、わたしからの挑戦状を送った。送りたくなった。お前のすべてを見せてみろって。
...............あんことバニラアイスがなかなかこない。
氷が溶けていくのが惜しい。
早く来てくれ、じゃないともう一つ頼むハメになるだろう…?
あんことバニラアイスがきた。
私は知っているよ。
かき氷で甘々になった味覚で、あんことバニラアイスを氷に乗せたって、あまり意味がないことを。
普段なら宇治金時は頼まない。バニラアイスだたて頼まない。
それでもこの店はどこか違うと、つい期待する。
あんこ。
あんこよ。なんだこの塩気は。
なんだこの氷でおかしくなったこの舌にも届くあんこの塩気と甘みは。
こんなあんこ、ほかに知らない。
氷を食べる用に調整してんだ。
絶対そうだ。
狂おしいくらい、うまい。
ずっと美味しく食べていたい。どうかお腹よ、膨らまないで。この美味しさを永遠に。
バニラアイスとあんこを一緒に食べてみる。
バニラアイスの甘みをほのかに感じる。バニラアイスとあんこは改めて最高の組み合わせだと心から思った。
もう氷はいらない。
と思ったのも一瞬で。
氷とアイスとあんこを一緒に食べると、
終わってほしくない物語がはじまる。
さて、くずきりをようやく食べます。
かき氷でけっこう満足してるのに、ここでくずきりを食べます。
くずきりの力を試す時がやってきた。
決していじわるなんかじゃない。
ただ、わたしは自分の舌を信じられないだけなんだ。お腹がへってたり、喉が乾いていると、なんでも抜群においしく感じる悲しき人間の性なんだ。
前と変わらず、美しくさわやかな見かけだった。
━━━━━━━━━おいしい。
このトゥルンともちもちの食感。
黒蜜の甘すぎず、コクがあるシロップ。
前回と変わらない、丁寧で淡いおいしさだった。
おいしいもの好きな人を連れて行きたくなる、自慢のお店をまた一つ見つけちゃったなあ。
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