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GAME2 運命を変える思考の選び方『本当はもっと大きな存在になれる』

自分自身についてあなたはどれだけ正しく理解しているだろうか。ラナンと出会って間もない頃、私は自分をごく小さな枠の中に押さえ込んでいた。どうせ自分なんて、自分は何者にもなれない、外側の誰かと比較してはそんなことばかり考えていた。


『本当はもっと大きな存在になれる』もう歳だからと、特別な才能も経験もないからと諦めてしまいそうなときにはいつも、ラナンがくれたこの言葉を思い出す。小さな茶色のふわふわした生き物のイメージとともに、その記憶は鮮明に蘇ってくるのだ。


「先週とっておきの子がきてね。ぜひキミに見せたいと思ったんだよ。」

約束の3日が経ち、ラナンと私はペットショップへやってきた。大好きな犬に囲まれた彼のテンションはいつもよりやや高めだ。

「ほら、この子だ。可愛いだろう。」
視線の先には他の子犬より2回りほども小さい子犬がいた。生まれたてだろうか、ふわふわクルクルした茶色の毛とつぶらな瞳が可愛らしい。

「トイプードルですか?」
「いや、ティーカッププードルだよ。なぜこんなに小さいのか知っているかい?」
「あぁ、確か小さいトイプードル同士を交配させていくんでしたっけ?」

「そのとおり。小さなトイプードルをかけ合わせ、その子供たちをまた別の小さなトイプードルとかけ合わせていくと、やがてこんなにも小さな子犬が生まれてくる。小さなものに小さなものを合わせると結果はさらに小さくなるってことなんだ。これが先日のキミの質問への答えだよ。

「ん?えっとどういうことですか?」
「キミは聞いたじゃないか。どうして世界には豊かな人と貧しい人がいるのか?なぜすべての人に豊かさが行き渡っていないのか?その答えがこれだ。」

言いながらラナンは優しい眼差しをスヤスヤ眠る子犬へ向ける。私はんん??としばし考え込んだ。これはズバリ聞かないと詳しく説明してくれないパターンだ。

「んーーと、全然わかりません!」
「ははは、正直で良い。つまりね、私たちもこの小さな子犬と同じだということだよ。私たち人類は何世代にも渡って、無意識のうちに小さな思考を培ってきた。『自分は十分足りている』と信じる代わりに『足りない』という不足感や『自分は十分ではない』という無価値観を信じ込み、それに賛同する人たちが増えることでさらに小さな現実を生み出してきた。思考は習慣となり、世界に確かな影響を与えるんだ。結果どんどん小さな不足だらけの世界を生み出してきたんだよ。」

私はなぜだかふと幼い頃に両親が言った「うちはお金がないから」とか、占い師が言った「あなたにそんな才能はない!」という言葉を思い出していた。


「少し意識してみるといい。キミの周りには『自分も世界も十分豊かだ』と信じている人と、『自分も世界も不足している』と信じている人のどちらが多いだろうか?もし周囲の人々が不足に意識を向け続けていたら、キミの心は恐怖に煽られ思考も行動も狭まり、目にする世界も日々縮小していくだろう。」

「うわぁ。たぶん私含め、ほとんどみんな足りないっていう方に意識が向いていると思います。なんでなんだろう・・・」

「そう学んできたからだよ。そして眠っているからだ。自分の思考や発する言葉の1つ1つが、どれだけ自分の運命に影響するのか気づいていない。もっと大きな自分になれると行動を起こすよりも、慣れ親しんだ小さな世界の方が安全だと思い込んでいる。たとえそこが居心地の悪い場所でもね。
 いいかい、自分を小さく捉えて小さく語るたび、それに賛同する誰かが必ず現れ、キミの世界はどんどん縮小していくだろう。そんな悪夢から目覚めるにはすべては外側の誰かや何かのせいではなく、自分の内側が創り出していると受け入れることだ。そして無意識に習慣化されてしまった思考や言動を変えると決意することだよ。」

(ーー本当にそうなのだろうか。研究室の准教授と上手くいかなかったことも、就活し損ねて進路を見失ったことも、自分の内側が創り出している・・・?)

そんな風に自分で自分の現実に責任を持つ勇気が、その時の私にはまだなかった。ラナンの澄んだブルーの瞳がまっすぐに見つめてくる。ウジウジした思考を見透かされてしまうような気がして思わず目を伏せた私に、ラナンは優しくこう諭す。

思考を選びなさい。自分の意識が拡大するような、豊かさからくる思考に耳を傾け、貧しさや恐れからくる思考にははっきりNoということだ。
 言葉を意図して使いなさい。自分の中にある豊かで平和な部分から語るんだ。周囲の人が恐れや幻想に振り回され混乱している中で、そこに光をさす唯一の方法は、愛を持って自分の真実を語ることだよ。

 キミは、本当はもっと大きな存在になれる。自分の内側にある素晴らしく良いものに気づくほど、外側の世界にも素晴らしく良い出来事が起こるようになるだろう。」


その日から私は意識的にこんなことをやってみた:
・研究室の仲間がこぼす准教授への不平不満に「あ〜そうだよね」と賛同する代わりに、彼らが楽しみにしている話題を振るか、黙ってその場を立ち去るようにした
・暗いニュースやゴシップ記事を配信してくる情報アプリを削除した
・自分が幸せになれることや安心できる場所を意識して探し、その時間を大切にするようにした

ラナンからのメタフィジックス・ゲーム2
下の文章の空欄を思いつく限り埋めてみよう。

「もし恐れがなかったら私は○○をします。」
例:もし恐れがなかったら僕は彼女を食事に誘います。
もし恐れがなかったら私は上司にこの業務は持てないと伝えます。
もし恐れがなかったら私はこのケーキを罪悪感なく楽しみます。
もし恐れがなかったら私は憧れのデザイナーへ会いにいきます。
もし恐れがなかったら私はイタリア旅行にいきます。


実際に声に出して読み上げ、どんな感じがするか感じてみよう。
そして何か1つでいいので実際に行動に移してみよう。


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