足のケガは、私になにを伝えてきている?
カナダのメタフィジックスの師・ドナは、身体の声を聞く達人だった。
40年以上数万人を臨床してきた彼女はいつも、病気やケガは私たちの敵ではなく人生を立て直すための身体からの《ギフト》だと言っていた。彼女はこうも言った。大切なことはケガや病気をした自分を責めるのではなく、身体からの愛のメッセージに気づき自分を許すこと。身体は必ず何か、必要なメッセージを私たちに伝えてくれているから。
例えば腰を痛めたとき身体は「お金の心配をし過ぎて、経済的に支えられていないという思考に支配されていませんか。すでにある豊かさに目を向けて、助けを求めたって良いと、自分を許しましょう。」と伝えてきている。
肩甲骨が固まり肩こりがひどくなったときには「必要以上のプレッシャーを自分に与え、他人の責任まで背負おうとしないで。気楽に、気楽に。自分にもっと楽しむ許可を与えよう。」と言い聞かせるといい。
身体というのは本当によくできていて、私たちの潜在意識が抱えていることを敏感に察知し、何らかの形で反応しているのだ。
一時期私は、特定の友人と会う前になると必ず足をケガしていた。小さな段差で足首をひねり、岩場で転んで擦り傷をつくり、極めつけには足の小指じゃなくって薬指を角にぶつけて捻挫した。なんなんだこれは。地味〜に痛くてイヤになる。3度のケガのあと、私はドナの教えにならって自分の足と体内会議することにした。
足さん。本音ではその方向に進みたくないと思っているんだよね。それは分かってるの。友人の発言には私も確かに驚いたし腹が立ったよ。一緒に始めようとしている仕事自体は、悪くない話だと思ったのにな。。とにかく一度オファーを受けたからには責任があるから、少なくともあと3回は会わなくっちゃいけないの。その後はそうだね、Noと言って断ろう。だからもうこれ以上、ケガして止めようとしなくていいから。自分を痛めつけなくたって人生の方向性は変えられるということに、私はもう気づいてる。
そう伝えたら、ズキズキとした足の痛みがだいぶ引いた気がした。
この件をドナにシェアすると、彼女は笑いながら言う。
ドナ「それは良い気づきの体験だったわね。確かに足のケガというのは人生が本来とは違う方へ向かっているときに起こりやすいものよ。それで、その友人とはどうなったの?」
私「一度やんわり断ったんですけど、また仕事の話を持ちかけられていて。我慢すれば多分できなくもないというか…。でも私の代わりはいくらでもいるっていうビックリ発言を聞いてから、彼とはもう信頼関係は築けないし、やる気もでないんですよね。」
ドナ「わーお。あなた自分の代わりはいくらでもいるなんて思っているの!」
ドナはときどきこうやって、何気にドキッとする返しをしてくる。
私「いや、私が言ったんじゃなくって彼が”私に”言ったんです。」
ドナ「だとしても?」
私「はぁ、、、ですよね。本当はわかってます。あなたからはもう散々学んできましたから。自分自身の中にその発想がなければそんな言葉は耳にしないし、たとえ耳にしてもなんの反応もしないはずですもんね。
だからそう、私の中に”これは自分じゃなくてもできる仕事で、私自身がやるべき仕事はもっと他にある”って想いがあったんです。それはどんなに報酬が良い仕事より、する価値があると思えることです。」
ドナ「ならそれをすべきだわ。絶対よ。ためにならない何かにNoと言えたなら、より素晴らしい何かにYesという隙間ができるのだから!
あなたはハートの深い部分でもうずっと、進むべき道を知っているの。でも頭はお金が〜責任が〜人間関係が〜と言って、ハートの声をかき消そうとするのよ。消えかけたささやかな声をキャッチした足は、あなたを救おうとしてケガをした。本来の方向性へ導こうと、手助けしているのね。
さて、ここで質問なのだけれど。なぜあなたの存在を軽んじるような尊敬しあえない関係性に、はっきりNoと言わないのかしら?Noと言ったらあなたは何を失ってしまうと信じているの?」
私「お金になる仕事と、彼との友情関係でしょうか。でも別に彼からではなくっても仕事はいくらでもあるんです。だから仕事には、お金よりも関わる人との信頼関係とか誠実さとか喜びを大切にしたい。」
ドナ「仕事の提案を断って消えるような友情関係なら、そこまでの関係だったということよね。自分本来の声を押し殺すのは、本当の意味でお互いのためにならないわ。Noという代わりに“多分”と言って、無力なふりをするのはやめたほうがいい。」
私「ぐうの音も出ませぬ。確かに自分の気持ちに嘘をつくたび、無力感に苛まれていて。やっぱり勇気を持って、やらないと言うべきですね。正直でいれば少なくとも、自分への信頼は高まりますし。」
ドナ「そう、行き詰まったらいつも、自分の本心を選ぶことよ。それはなにも彼との関係性においてだけを言っているんじゃないの。もっと大きな視点で人生を見たときに、自分に正直であること以上に重要なことなどないのだから。
あなたの勇気を祝して、足から励ましのメッセージを授けるわ。足というのはね、体を”支える”部位なの。足は今こう伝えてきているわよ。”もっと自分の足で立ち、自分で人生を支えると決意して。大丈夫。あなたが自分を支えると決意したなら、人生も必ずあなたを支えてくれるから。”」
その後私は勇気を振り絞って彼に連絡を取り、自分のやりたいことのために、今後一切仕事の話は受けられないという気持ちを打ち明けた。納得してもらえたかどうかは定かではないが、正直に伝えことで自分自身の気持ちと時間には余裕ができ、久々に遊びに出かけることにした。
そうして気分良く訪れた場所で思いがけない出会いがあり、その行動はやがてハワイでのやりがいある仕事に繋がっていく。ドナの言っていたとおりだ。
何かにNoと言えたなら、
より素晴らしい何かにYesという隙間ができる。
自分で自分を支えると決意しよう。
そうすれば人生は必ず、あなたを支えてくれるだろう。