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空っぽのシュークリーム
シュークリームの生地ばかり焼いている今日このごろ。
というのも、最近は料理だけでなく、ケーキを教える機会も増えてきて、自分の未熟さを痛感する日々だから。自分で作れても、人に教えるのはまた別なんですよね。
シュークリームのシュー生地は、初心者には難しいと言われます。私は教える立場なので、安定して成功するように、家で実験を重ねているわけですが、目的はシュー生地なので、中身のカスタードを作るのは面倒になっちまうのです…
でも捨てるのも忍びないから、最近はシューだけをそのまま食べています。
何も入ってない、空っぽのシューは卵の風味がしっかり感じられます。外はカリッと、中はふわっとして、焼きたては格別。
…といっても、大多数の人は、クリームが入っているほうが美味しいと言うでしょう。
多分、私の感覚が少し変わっているのだと思います。
なぜなら、私は元々、食べ物の側が、好きな子どもだったから。
たとえば、おまんじゅうの側
あんこじゃなくて、外側の生地が好きだったから、あんこは兄にあげて、外側のふかふかした部分ばかり食べていて、
ふかふかした部分だけのおまんじゅうがあったらいいのに、と真面目に思っていました。
(それは多分おまんじゅうと呼ばない)
それから、タルトの側
小さいタルト。タルトレットとも言う。
その土台が大好きだったのです。
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初めてフルーツタルトを食べたとき、まだ東北なまりの少女だった私は、思ったのです。
「下のサクサクした生地、うめぇ〜!
フルーツいんねぇな〜!」…と。
今なら、7年間京都に住んで培った関西弁で
「タルトはクッキー生地とほぼ同じなんやで!クッキーでいいやないか!」
と、自分自身につっこむのですが。
もっと話を遡ると、私は白いご飯を、おかず無しで、ご飯だけで食べるのが好きだったし、にんじんとかパセリとか、クセのある野菜を、そのまま何もつけずに生で食べるのも好きだったのです。
素材本来の味をお楽しみください…って
どこかの自然派レストランの謳い文句みたいだけど、まさにそういう子どもでした。
まあ、大人になるにつれ、あんこの入ったおまんじゅうも、フルーツがたっぷりのったタルトも好きになったけど、久しぶりに側ばかり食べていたら、側好きの片鱗顔を出したようです。
と言うわけで作ってみる
シュー生地の材料はシンプル。
牛乳、水、塩、バター、卵。
牛乳の割合が大きいほど、カリッと硬めのシュー生地になります。
まず、牛乳と水と塩とバターを加熱して、バターが溶けたら強火にし、しっかり沸騰したところに、薄力粉をイン。
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火を止め、よくかき混ぜこしあんのように一塊になったら、中火で炒める。ここら辺はスピード勝負なので、写真を撮る暇もありません。
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鍋底に薄い膜が張るくらい炒めたら、ボウルに取り出し、溶き卵を加え全力で混ぜる。
ここがシューの難しいところで、卵の量は決まっていません。自分で見極めるのです。目安は、ヘラですくって、逆三角形に落ちるくらい。
卵の量は、生地の加熱具合や小麦粉の状態など色々、左右されます。
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あとは、絞って焼くだけ。
焼くまでに、生地が冷めると膨らまないと言う人もいるし、むしろ時間をおいた方がいいと言う人もいる。
オーブンの機種、温度の違いでも変わる。
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様々な要素が重なって、出来上がるシュー。
それは、人生が、多くの選択を繰り返して、形作られるのに似ている…
といったら少し大袈裟かもしれません。
そして、空っぽのシューに何を詰めるかは、自由。人生という器が、無限の可能性に満ちているように…といったらめっちゃ大袈裟かもしれません。
シュークリームの側、そんなものを食べる機会は少ないけれど、もし手作りしたときは、シュー生地だけで、食べて欲しいなと思います。
おまけ
カスタードはなくても、アイスを挟めば最高です。
シュー生地にハムやチーズを挟んでも、意外とイケまっせ!
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