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江戸のお味 その壱
料理が好きで、料理を仕事にしている私ですが、料理の歴史や食文化についても実はすごく興味があって、色んな本を読んでいます。
もともと子どもの頃から歴史好きなので「料理」と「歴史」の掛け合わせは、私にとって最強に面白いと感じる分野なのです。
しかし、最近思うのは、基本的に読んだら読みっぱなしで、知識が身についてない、ということ。今更ながら、それはもったいないと気付き、今回満を持して、
実際に昔の料理を作ってみることにしました。
対象にした本はこちら
江戸時代が特に好きというわけではないのですが、原点回帰で自国の料理を知りたいと思ったのと、様々な食材の調理法が載っていて、面白そうだったのでこの本を選びました。
内容は、江戸時代の文献の原文と、それを実際に調理した著者の松下氏の解説です。食材別に書かれているから、わかりやすいですね。
江戸の料理は意外と美味しそう!
ざっくりと本を眺めた感想は、江戸時代って意外と現代と同じような調理法をしていたり、今と似たような料理があったんだなぁ、ということ。
これ美味しそう!と思える料理が思いの外、沢山あって嬉しくなりました。
美味しそうだと思った料理のうち、身近な材料で手軽に作れそうなものを、早速作ってみることにしました。
小禽(ことり)ざうすいを作りませう
ことりざうすい、、
要はとり雑炊のことなのですが“ことり”という表現にドキッとしてしまいます。
江戸時代、とりといえば、ニワトリではなく、野鳥を獲って食べることが多かったので、こういう字を書くようです。
本書には、鴨、キジ、鶴、白鳥、鷺などをよく食べていたと書かれています。野性味溢れますね〜
では、調理スタート
(江戸時代の文献には、分量の記述がほとんどないそうなので、量は適当です。)
①鶏もも肉は細かく刻んでたたき、お酒を加え練り混ぜ、団子状にする。肉団子のつなぎは特になし。
探せば鴨肉ぐらい手に入るのかもしれませんが、
近くのスーパーにはなかったので、鶏肉で代用します。
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②味噌汁に冷やご飯を入れ、加熱する。
江戸時代の雑炊といえば、米に野菜を加えて味噌汁で煮るのがオーソドックス。生米から作る場合も、冷やご飯から作る場合もあったようです。
今回は特に記述がないので具なし味噌汁です。
③ご飯がふやけてきたら、肉団子をいれてひと煮立ちさせる。
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お味噌は煮立たせると味が悪くなりますが、
江戸の頃は気にしなかったのでしょうか。
よくわかりませんが、そのまま加熱していきます。
④お肉に火が通れば、芹の茎を刻んでのせる。
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セリはかろうじて近くのスーパーにありました。今では七草粥の時期にしか見かけない野菜ですが
江戸時代はよく使われる野菜の一つだったようです。
小禽ざうすい、完成!
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あら、なんか美味しそう!
思ったよりいい感じの仕上がりです。
いざ、実食!
肝心なお味は、、、ズバリ!
味噌味の雑炊ですね!(そのまんま)
肉を刻んで作った、ごろごろした肉団子は食べ応えがありますし、セリの爽やかな香りもベストマッチ。具が入ってないので物足りない感じもしますが、美味しかったです。静かに煮たので、味噌の風味も残っていました。
試行錯誤しながらの調理でしたが、意外と上手くできて嬉しいです。
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ちなみに、、
江戸時代に、毎日米を食べれたのは江戸や大阪など、都市部の人間のみだったそうです。
そして、江戸時代の人口の85%は農民だったという研究もありますから、雑炊とはいえ、お米を使ったこの料理、かなり贅沢なのかもしれません。
次回は甘薯(さつまいも)の天ぷらを作ります。
お楽しみに〜(なにげにシリーズ化)