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初の豆味噌仕込みと、わが家の味噌蔵

茶色の石ころみたいなこの物体、一体なんだと思います? これをつぶして塩と水を混ぜ、桶に詰めてじっくり寝かせれば…愛知県伝統の豆味噌の完成! 写真はその豆味噌づくりに欠かせない「味噌玉麹」と呼ばれるものです。

ご家庭で味噌づくりをされたことのある方は、これが麹?と思われるのではないでしょうか。それもそのはず、味噌づくりによく使われる米麹や豆麹とは違い、この味噌玉麹は保存が難しいため、一般には出回らないそうです。

私も先日、あま市にある「佐藤醸造」さんの手作りみそ教室に参加した際、初めてお目にかかりました。佐藤醸造は、今年で記念すべき創業150周年を迎えられた、七宝みそ・しょうゆの蔵元です。

味噌玉麹は蒸したor茹でた大豆をつぶして団子状にし、麹菌をまぶして繁殖させるのですが、メーカーによりサイズや形状が異なり、こちらは結構小さめの部類。味噌玉麹によって仕上がりの味わいも異なり、サイズが大きくなるほど、渋みや酸味が増すそうです。

さらに驚いたのが、豆味噌特有の全麹仕込み! 原料はこの味噌玉麹と塩と水のみという潔さで、一般的な味噌づくりの、大豆をコトコトゆでてつぶして…という工程がありません。私も毎年自宅で仕込んでいますが、伝統的な豆味噌づくりは初体験。同じ味噌でもこんなに違うんだなと、新鮮な発見がいっぱいでした。

教室では仕込みの後、普段は公開されていない味噌蔵を見学できます。蔵の中に入ると、10トンもの巨大な木桶がずらりと並び、何やら素敵な音楽が…? 聞けば、有名なサウンドアーティストがこちらの蔵のためにオリジナル楽曲を提供してくださったそうで、それを味噌たちに聴かせて育てているとか。厳密には、味噌が音楽を聴いているわけではなく、音楽から出る周波数が味噌の仕上がりによい影響を与えるのではないか、とのこと。
一体どんなお味になるのでしょうか。

「ちょうど発掘中の桶があるので、よかったら登ってみますか?」と言われ、梯子を使って木桶の上へ。発掘…?と思いつつ、中を覗いて納得。熟成期間を経て黒っぽく変化した、岩盤のような味噌の大地が広がっており、ここから職人さんが少しずつ掘り起こしていくそうです。ひとつの桶に約10トン分の味噌が入っているわけですから、そのスケールの壮大なこと!
佐藤醸造の木桶は、長いもので江戸時代から(!)大切に使い続けており、木桶に棲みついている菌たちが、味噌をおいしくしてくれるそう。
普段何気なくいただいている味噌ですが、そう聞くと、改めてすごい食べものですね。

教室の最後に、手作り味噌の保管場所の話になりました。毎年自宅で仕込み、床下収納に貯蔵している旨を伝えると、「そこは、あなたのおうちの味噌蔵ですから。菌たちが棲みついているその場所で、ぜひ今日の味噌も育ててあげてください」とのこと。

床下がわが家の味噌蔵!? なんて素敵な響きでしょう。
わが家の蔵には、どんな菌たちが棲んでいるのかな。
私のかわいい味噌たちを、今年もおいしく育ててくれますように。


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