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「赤ちゃんがかわいそう」の謎
ずっとモヤモヤしていたものが、やっとクリアになった。なるほどなるほど、そういうことか。
「赤ちゃんがかわいそう」
近所のスーパーで、突然隣のおばちゃんから呟かれた。
ん?なんだ?
私はその時、スリングで子どもを抱っこしていた。冬服はもこもこで滑って若干不安定な体勢になって手で軽くおしりを押さえていたから、体勢がしんどそうってことかな?いやでも車に置きざりよりはいいだろう。寒くてかわいそう、てこと?結構厚着しているんだけどな。
敵か?と身構えながら一応口角をあげて微笑んでみたら、「うちにも赤ちゃんの孫がいるけどね」と四方山話を始められる。別に怒られるわけではなさそうだ。胸の前でクロスした両手のガードを少しだけ下げる。今何ヶ月だのやっぱり最初は女の子がいいだのぼそぼそ喋りなった後、「ま、赤ちゃんを大切にしてあげてください」と言って去っていった。悪い人ではなさそうだ。ただ、冒頭の「赤ちゃんがかわいそう」が何に対してなのかいまいちわからないまま、どこかにとげのように残った。
あれから1ヶ月。昨日、近所に住む80代のおばあちゃんと赤子を見ながら一緒に話をしていた。その中で、「昔は3ヶ月やそこらではまだ外に出たりしなかったのよ」という話になる。
「今だとスーパーやなんかでも抱っこしながら買い物しているお母さんいるけど、なんだか赤ちゃんがかわいそうなやあに見えて。まあ家に人がいなかったら自分で買い物に行かないといけないんでしょうけども……」
と言われ、上記の場面がさーっと蘇る。あのおばちゃんが言っていたのはこういうことか。つまり、まだ小さい赤子を抱っこして外に出ること自体に、違和感を感じたのだろう。言葉が足りんわ。
私は、夫が仕事に行っている平日に赤子と一緒に買い物をすることが多い。スリングだったりベビーカーだったり、赤子と2人でも動ける範囲を少しずつ練習しながら増やしている。それが、核家族の我が家の生活スタイルだ。オムツやトイレットペーパーなどかさばるものはネット購入に切り替え、野菜と魚と加工品だけは近所の市場やスーパーで買う。その一場面だ。新生児ならまだしも、3ヶ月の子どもを連れてスーパーに行ってはいけない根拠はあまりないだろう。
あのおばちゃんは、何かを私に教えてくれようとしたのかな。電車で化粧する女子高生や道端に座り込む若い兄ちゃんなど、非常識な若者を非難するような呟きだったのか。ぼんやりと考える。ただこっそり思っているよりは、こうして違和感を口にしてもらえるのは、違いに気づけてありがたい。今あの場面に戻れるならば、何に対してのかわいそうなのか、あのおばちゃんに聞いてみたいと思う。決して敵に対する反論ではなく、異文化への知見を広げる好奇心に溢れた目で。