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ふつう

ふつうのパン。
それは結構奥が深いものかもしれない。

勤めているお店のパンを、365日、まるでお米を食べるかのように、来る日も来る日も食べていたら、ある日そんなふうに思うようになった。

一口食べた瞬間に、「うわー...‼︎」と感動が押しよせてくるパンも、そんなパンを求めて出かける一日も、とっても大好きなのだけれど

日々お店で焼いたパンを、検食も兼ねて食べていると、幸せなことに私のパン欲は充分にいつも満たされていて、

コロナ禍以降、テイクアウトのし易さをきっかけにハマっていたパン屋さん巡りも、最近では時々の楽しみに落ち着いている。


パンを焼き上げるには
粉から生地を捏ね上げて、一次発酵、分割と丸め、成形、二次醗酵、焼成、と手間と時間が結構かかる。

だから
たくさんの量は作れないし、生地に添加物を加えていない分、賞味期限も翌日中となる。

そうして毎朝お店で焼き上げられるパンは、
小麦が香るシンプルで優しい味わい。

その生地のなかに、ちょっと良いお芋(紅はるか)の甘露煮や、オーガニックの小豆を炊いたの餡子、生チョコのような美味しさのチョコレートなどが包まれている。

うちのお店のパンは、恐らく名店のパンと肩を並べることはできないだろう。

並べたら、きっと「ふつうだねぇ」って言われてしまう。

でも、それで良い。

それで良くて、その加減を守っていくことが、お店にとって大切なのかもしれない。

「お家の近くにあったら、ちょっと嬉しいパン屋さん」

「優しい味わいのちょっと良いパン」

「小さな子からお年寄りまで、みんなで一緒に食べられるパン」

そんな
ふつうのパン。

毎日でも食べられる
おいしいパン。

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