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辛いつわり、「いつかは終わる」と指折り数えた2ヶ月間の話
朝が来た瞬間「やつ」があると「あぁ……今日も耐えなきゃ……」と軽く絶望する。
誰しも生きていると朝起きた瞬間、テンションが落ちる日もあるだろう。
それは、ある人には仕事始めの月曜日かもしれないし、重要なプロジェクトや商談の日かもしれない。女性なら生理のあの特有の怠さかもしれない。その人にとっての特定の日。
だか今回、わたしはそんな瞬間を約2ヶ月も味わった。妊娠後に起こる特殊な「つわりの期間」だ。
29年間生きた中で「人生の辛いことTOP3」にランクインしたのは、まぎれもなく今回のつわりだった。
※この記事は、田舎の副業ライターさおりのつわりの様子をつづった記録です。つわりに耐えながら、育児やライター業務などの在宅ワークをこなした日々を書いてみました。今、つわりで苦しむ妊婦さんに、渾身のエール込めて……
【妊娠6〜10週目頃】吐きづわりのスタート。あらゆる生活の匂いも無理に
人生2度目の妊娠に気付いたのは、約3ヶ月前。
風邪みたいな症状が数日続き「なんか体調が悪いな……」がスタートだった。
嬉しい反面まだ初期の段階で、どうなるか分からない不安。主人以外には共有せず、日々を過ごしていた。
長男を妊娠したときの経験から「つわり、空腹をしのいだら大丈夫だよね」と軽く思っていた。まさか、当時以上に苦しむことになろうとは。
*
7週目に入ったころ、毎日吐き気を感じるようになった。日常の食べ物の匂いがトリガーになって、胃がムカムカ。2日に一度ほど嘔吐していた。
ある日味噌汁を作っていたときだ。キッチンに充満する「だし汁」の匂いで猛烈に吐き気がして、トイレに駆け込んだ。
(あ、やばい。無理。もう料理できないや……)
その日を境に「匂い」による吐き気で料理ができなくなった。お惣菜や冷食、外食に頼る毎日。
マスクをして家族の料理を準備する。
主人はともかく、育ち盛りの4歳の長男には申し訳なかった。けど、吐き気で料理はできないのだ。
周りには安定期でもないし、公表できない。職場の上司や最低限の先輩、同僚には伝えたが、それ以外の人には伝えていない。
妊娠して嬉しい反面、一人で耐える孤独と辛さの幕開けだ。
10週目に差し掛かる頃、嘔吐の回数が増えて体力は消耗する一方。仕事以外は横になるしかなかった。
副業では案件を減らした。納期の迫る記事は、吐き気を堪えながらも気力で執筆。不思議と、集中しているときは少し楽になった。
けどその後は反動なのか、吐き気はいつもより酷くなった。
職場でも胃がムカムカ。嘔吐する日が増えてきた。次第に職場への勤務も難しくなり、在宅ワークに切り替え頂いた。本当に感謝だ。
周りに気を遣わず、いつでもトイレに駆け込める環境はありがたかった。
【妊娠11〜12週目頃】つわりのピーク。吐き気で夜も眠れず、辛くて泣いていた
11週目を過ぎた頃。つわりが一段と酷くなった。
毎日、食べたいものが変わった。昨日食べられたものが今日食べられない辛さ。
「食べれるかな……」と思って買ったおにぎりやサラダ、サンドイッチ。だけど、数分後には全て嘔吐することもザラだった。
「もったいなかったな…」と数時間前にコンビニに支払ったお金が頭にチラつきながらも、諦める日々だった。
脱水が心配だったので、水分は経口補水液を飲むようになった。
吐き気と闘い続けて、1か月半。
— さおり|ライター×HSP×サポート業 (@saorin_good) September 18, 2021
常にだけど、夜は特に気持ち悪さが強くなる。。
これいつまで続くのだろう…
あと2週間くらい?個人差だし、終わりが見えないの辛い。
そろそろ落ち着いてくれてもいいのでは…?😇
普通に過ごしたい。家事も仕事も普通にやりたい。健康のありがたみ。#悪阻
長男の妊娠時も多分辛かったのだろうけど、すっかり忘れていた。
人って、時間が経つと辛いことも次第に忘れちゃうのだな、と思い知った。
仕事も家事も思うようにできない。吐き気に耐えながら、最低限のことをこなすしかなかった。
当時受講していたコピーライティング講座の「ライカレ」も、講義がリアルタイムで受けれない。
がんばる同期を横目にトイレに駆け込み、寝込む日々。出遅れている寂しさと悔しさも感じながら……けど、何もできなかった。
また、夜中に吐き気に起こされて目が覚めることも増えた。起きた瞬間トイレに駆け込む。けど胃の中は消化されているので、胃液や嗚咽しか出てこない。
(辛い……いつ終わるの?助けて)
夜中。家族が静かに眠る、真っ暗闇の中。絶望と胃の吐き気に耐えながら、一人涙が出る日も。
誰にも言えないけど、Twitterには弱音を綴るようになった。一人で耐えるのがしんどくなったから。
恐るおそる書いたけど、温かいコメントに励まされた。
「つわり いつ終わる」「つわり 〇〇週目」「つわり 辛い」……
何度も検索エンジンに入力し、調べたワード。妊婦さんあるあるかも知れない。SNSやネット上で、今やつわりに苦しむ妊婦さんの書き込みや体験談に励まされた。
人は、同じ経験をしている人がいるというだけでも救われるものだと知った。
世の中の妊婦さん、みんなすごい。
あまり周りに公表できない時期、ただ、時間が過ぎるのを待って、我が子の成長を祈りつつ。
今日もどこかで、耐えてがんばっているのだ。
つわりの症状には個人差があるけど、妊娠中は皆、体は大きく変化する。つわりの有無に関わらず大変なことにはかわりない。
そして、支えてくれる周りの存在も感謝だった。
「ママ、大丈夫?ヨシヨシ」
寝込むわたしに、長男が頭とお腹をさすってくれた。主人は文句を一言も言わず、料理、洗濯をこなしていた。
ただ、ありがたかった。
*
人間が産まれるとき、妊婦は体調も変化し辛い思いもする。妊娠、出産は命懸けだ。
大昔、医療が発達していなかった自分達のご先祖さまは、どうやって過ごしたのだろう?
命を落とすことも多かった出産。
自分が今、生きているのはご先祖さま達が生き抜いたおかげなんだな……。
だから命って大切で貴重なのだ。無駄にしないよう、まっとうして生きたい。
今が辛くて苦しいことがあったら、その感情を味わいつつもその事実も同時に思い出すといいかもしれない。
自分の命は、ご先祖さまが命懸けで守ったからこそ、存在している。目の前に色々な問題があったとしても。その事実を改めて意識するだけでも、人は少し楽になるかもしれない。
誰からも望まれていない人なんて、いない。近くに感じないし、見えないかも知れないけれど。
過去に命懸けで生きたご先祖さま達がいることと考えると、その人達が自分を応援しているはずだと思う。
そして、新たに命をこの世に生み出そうとしている妊婦さんは、すごく貴重なことだと思った。
けど、つわりが今は辛くて何も考えられなくてもいい。今が辛くて生きている人は、感謝もありがみよりも、今を過ごすのに必死なのだ。この時期のお腹の赤ちゃんが「可愛い」とも「愛おしい」とも、何も感じなくても普通なのだと思う。
この時期はただ、毎日を生きるだけでも十分なのだ。
今日も人知れず孤独や辛さに耐え、生きた自分やあなたを、たくさん褒めてあげたい。
「よくがんばってるね。既にあなたは立派なお母さんだ」
命の重みと、今自分が味わっている貴重な経験のすごさを。この時期は改めて考えていた。
【妊娠13〜15週目頃】つわりのピーク終了。嘔吐の回数が減る
10月に入り、13週目を越した頃。まだ吐き気はあるけど、1日の吐き気の回数が次第に減りピークも越したのが分かった。
悪阻でしんどい中、コンビニへ。
— さおり|ライター×HSP×サポート業 (@saorin_good) September 28, 2021
レジで店員さんが「入れますよー」と私のエコバッグに商品をサッと入れてくれた。
その瞬間なぜか涙が出そうになった。
辛い時って人の優しさが身に沁みる🥲
自分にとっては当たり前のことでも、知らないうちに誰かを感動させてることもあるのだろうな、と思った
安定期の16週目まで、もうすぐ。
個人差はあるけど、一般的には16週目を越す頃には、つわりが軽くなる方が多い。
無気力になり、何もできず無意識に自分を責めて体も心も消耗していたピークの日々から。
少しずつ、気持ちも前向きになったのが分かった。体と心は繋がっているのだと痛感。だから、体を整えること、健康は今後も大切にしたい。
「もうすぐだね、自分。赤ちゃんもがんばれ」
会社に出勤できる日も増え、少しずつ自分の日常が戻っているのを感じた。
食事も、以前よりは食べられるようになった。仕事も、少しずつだけどこなせるようになってきた。
当たり前の日常が、本当に愛おしくて、待ち遠しかった。側にあると忘れてしまうけど、失うとそのありがたみが痛いほどわかった。
【妊娠16週目〜】無事安定期へ。当たり前の日常に幸せを感じる
安定期に入る頃、吐き気や嘔吐はほとんどなくなった。食欲も回復し、食事がおいしいと感じるように。
朝起きた瞬間の「吐き気」に絶望していた日々も、終わりなんだ……。喜びを一日に何度も一人で噛み締めた。
代わりに、下腹にポコポコと胎動も感じるように。「あぁ、今日も元気なんだな……」と朝から嬉しさに変わってきた。
わたしがグッタリしている頃、この子はちゃんと大きくなっていたのだ。こんなに毎日吐いてしまって、フラフラだった自分の中で生きているのか?と毎日心配だった。
健診で元気よく動き回る子を見たとき、何とも言えない感動が生まれた。
この時期を耐えれたのは、一人ではなかったから。毎日そばに居てくれた、主人や長男。業務の負担を減らしてくださった職場の方や、クライアント様。
Twitterのリプで励ましてくれた方。コンビニの店員さんの明るい対応。そして、顔も会ったことがないし見たこともない、誰かのつわり体験談。
さまざまな人の対応や言葉たち。
つわりは辛かったけど、人の温かさや当たり前の日常のありがたさを痛感した2ヶ月間だった。
もし、この文章をたまたま読んでいる妊婦さんがいたら。
辛いけど、つわりはいつかは終わる。今はただ、生きているだけでも十分。よくがんばっているね、と伝えたい。命の存在が重くて尊いのだと、身を持って体感する貴重な時期。
仕事や家事育児。今まで滞った分、やりたいことは溢れているけど。焦らず、これからも体調には無理せず注意して過ごしたい。
人間、辛いこともいつかは薄れて、曖昧になり忘れてしまうから。
こんなに辛かった今回の期間も、わたしは多分、いつか忘れてしまう。
だからこそ、覚えているうちにここに書いて。いつか育児が辛くなったり、つわり以上に辛いことがあったら振り返ろうと思う。
今日もつわり耐える誰かのために、ここにそっと記録する。
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