毎日note「小さな家が恋しくなるとき」
週末は家族で近くの温泉宿へ出かけた。
7畳一間、布団が4枚敷ける広さに布団なしのこたつテーブルと小さなテレビ、簡易ポットと昔ながらの押し入れに布団が入っている。
アメニティもなく、ガスヒーター一つで温まるコンパクトな部屋、年季が入っていて格安だけど、各部屋に露天の掛け流し温泉がついている。
これが最高なのだ。
24時間、いつでも好きな時に温泉をためて入ることができる。
16時にチェックインしたら、夕飯まで風呂に浸かってくつろぐ。
雨がシトシト、湯気がゆらゆら。
頭から肩に小雨を浴びながら、身体は芯まであったまる。
風呂から上がるとこたつを部屋の端に寄せて、自分たちで布団を敷く。
ここに来ると、娘は決まって押し入れに入って遊ぶ。
気分はドラえもん。
秘密基地を作って遊んでいる。
夕飯を食べて部屋に帰ると、また風呂に入る。
雨で星空は見えないが、雨の冷たさとお湯の熱さのコントラストがたまらなく気持ち良い。娘もぷはあぁと風呂に浸かる。
風呂から上がるとまた、寝るまで暇がたっぷりある。
なんと贅沢な時間。
7畳一間のこの部屋では、家族の距離が近い。
何にもないここでは、みんなが揃って暇な時間を過ごす。
みんなで何かしようと娘の声掛けで、じゃんけん大会が始まる。
「じゃんけんホイホイどっち出すのー、こっち出すのー」
スピードをどんどん上げていく。
ひたすらじゃんけんで盛り上がり、眠くなった人から布団に倒れ込む。
こんな時に思う、キャンプでも思う。
狭い部屋っていいよな。最小限の設備の部屋っていいよな。
みんなが同じ空間にいる部屋だけでは息が詰まるだろうけど、
リモート仕事も困るだろうけど、このコンパクトな空間に蜜に集まるっていいよなと思うのだ。
こんな蜜な空間が、家族にとっても非日常になっているのかもしれない。
年を重ねるごとに、だんだんと広い家に引っ越してきた。
夫と二人、最初は1LDKに暮らしていた。
引っ越すごとに家は広くなり、新しくなり、便利さも増してきた。
ふと、小さな家が恋しくなる。
広くなくていい
新しくなくていい
ハイスペックじゃなくていい
家族が近く集まり、一緒に笑える家
結局、どんな家でも構わないのだろう
みんなが一緒に笑える時間がつくれるのなら
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