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金で幸せは買えないが…|金がないと何が起こる?

新NISAが定着してきたからなのか、トランプ大統領が就任することで経済が期待されているからなのかわからないけれど、ここ最近noteも含むSNS上で資産運用の話題が多くなっている気がする。どうやら結構多くの人がたくさんの資産を築いているらしく、経済的独立を果たして早期退職をしている人も増えてきているようだ。

こういう時にいろんな人の資産推移などを垣間見ていると、どうしてもそれと自分を比較するようになり、自分の資産や経済力を気にするようになる。

しかし、ここで自分の経済力をただただ嘆いていても、時間が溶けてなくなってしまうだけなので、生きる意味や幸せの定義をしっかりと考えておいた方がいい。あくまでも生きるために金を稼ぐわけなのだから。

そう思って読書に耽ったり仕事に勤しんだりするわけだが、そもそも金がないと幸せになれないという現実はなかなかしぶとく頭に残ってしまう。金と幸せについて考えると、堂々巡りの議論が始まるのだ。

『「豊かさ」の誕生』という日経ビジネス人文庫から出ている経済に関する本がある。

本書では著者のウィリアム・バーンスタインが、国家や組織が繁栄して「豊か」になる条件を分析しているが、下巻では「民主主義が経済発展をもたらしたのか、それとも経済発展が民主主義をもたらしたのか」という興味深い議論が成されている。

本書では「経済発展が民主主義をもたらした」と結論付けており、こうして考えると結局のところ、まずは経済的に豊かになることが先決なのだと気づくことができる。経済の本は世の中を説明はしてくれるが、残念ながら時に人を絶望させてくる。

しかし、これを個人に置き換えて「幸せだから豊かなのか」「豊かだから幸せなのか」と考えてみると、国や組織とは少し違う印象を持つと思う。

ビートルズだって『Can't Buy Me Love』(愛は金で買えない)と歌っている。 『グレート・ギャツビー』のギャツビーだって、若くして巨万の富を得ても結局のところ幸せになれていない。愛や幸せは金では買えないのだ。

だが、かと言って金がない状態で『Can't Buy Me Love』を歌っても言い訳がましく聞こえてしまうかもしれない。スーパースター(大金持ち)のビートルズが歌うから説得力があるのだ。

こうして「幸せだから豊かなのか」「豊かだから幸せなのか」という議論は再び堂々巡りを続け、無駄な時間を過ごしてしまったことへの後悔だけが残る。

そもそも答えを出そうとするのが苦しいのだと思う。「金持ち」と「貧乏」の様な二極的に物事を考えるのが間違っているし、個人によって必要なお金は異なる。時代によって幸せの価値観も変わる。

だから、あまり夢を見過ぎない程度に、そして無理しない程度に富は蓄えていこうと思っている。

「結局は金貯めるんかい」と最後に思われたかもしれないが、『豊かさの誕生』にこんなことが書いてある。

お金では幸せは買えないが、お金があれば少なくとも居心地のよい場所で苦しむことができる

リリアン・バーンスタイン(著者の母親)『「豊かさ」の誕生』下巻 P.177

だからとやかく言ってないで、さっさと金を稼いで貯めておくこととしよう。せめて居心地のよい場所で苦しむために。

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