新しくない「新○○」|命名規則は大切なのか
会社で共有しているファイルサーバー内に、ファイル名を「【最新】〇〇集計一覧.xlmx」と命名してしまっている社員がいて「命名規則を勉強しようぜ」と指導をすることがあります。
【最新】と命名してしまったファイルはそのままファイルサーバー内に残り続け、2年後になっても3年後になっても、はたまた10年経過しても【最新】という名称が残り、その時に見てもちっとも最新ではない状態を表現してしまうことに繋がります。こういうイケてない運用は辞めようと言っているのです。
こういった状況を防止するため、基本的なビジネスリテラシーとして命名規則というものがあります。
ファイル名は「日付_大分類_小分類」(例:20240731_全体会議資料_A部)といった様に、一定のルールを決めて命名することで【最新】の様な現象を防ぎつつ、情報の整理をすることが可能になります。
また、ファイルサーバー内を誰かが検索した時にも見つけやすいよう、プロジェクト名や資料の役割をファイル名に組み込むことも大切です。
仕事の時に、この様な話をよくしていると、時間軸を意識しない命名については、どうしても「イケてないなぁ」という感情を抱いてしまうようになります。
しかし、よくよく考えてみると、命名というのは何もデジタルファイルのファイル名だけでなく、あらゆるものに適用されているものだと気づきました。
その代表格が土地の名前です。当たり前のように定着している地名は意味合いまで考えずに呼んでいるため、普段意識することがありませんが、実は時間軸が刻み込まれているところが多くあります。
大阪にある「新世界」や「北新地」、兵庫の「新開地」など、「新」が地名に付いていても、今ではどこかレトロな雰囲気が醸し出さているエリアがあります。
開発当時にパリと ニューヨークを足して2で割ったような新名所をめざしたのが「新世界」で、中之島の蔵屋敷でコメの取引をした後、商売人が接待に使う町がなく、新しくつくられたのが「北の新地」としての「北新地」です。
「新開地」も、旧湊川を埋め立てた場所に「新しく開いた地」が由来と言われています。
関東に目を向けてみても、主要な都市である「新宿」があります。新宿は文字通り新しくつくられた宿場のことを指して「新宿」と命名されています。
【最新】と付けてしまうとさすがに定着はしなさそうですが、こういった地名の事情を知ると、細かいことにとやかく言わずに好きに命名して良いのかもしれないと思ってきました。