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時代が求める読み物|サイバーパンクとミステリー

NHKの再放送で「21世紀の地政学 サイバーパンク編」という番組を観た。テレビはしばらく観なくなったけれど、この手の番組は未だに時々観ている。

サイバーパンクとは退廃的な未来を描いたSFのサブジャンルのことで、有名な作品にはウィリアム・ギブスンの『ニュー・ロマンサー』があり、映画では『ブレードランナー』がある。

僕はSFには疎いので多くを語ることはできないが、ここ最近はよくSFの魅力が語られることが増えたなぁ、と何となく思っていたので、この番組を観てその理由が少し理解できてしっくりきた。

ここ数十年でSF小説は大いに盛り上がりを見せている。最近ではイーロン・マスクやジェフ・ベゾスの様なIT企業のCEOが幼少期にSFに魅せられていたことなどが知られ、その活躍ぶりにSFが影響しているのではないかと話題だ。

そしてこの番組で語られていたのが「変化が速い時代だからこそ、SFを読む必要性が出てきた」ということだった。中世は時代の変化が少なく安定していたので、未来を予測したところで、予測した未来がなかなかやってこないのだ。

一方でテクノロジー全盛の現代は予測していた以上に早く時代が変化し続けている。数年先に何が起こっているのか全くわからないような速度で時代が進んでいるのだ。

だから、普通なら思い描くことができない未来について考える必要があるため、人々は作家が描いたSFを求める。こうして時代が進むにつれてSFが求められるようになってきたのだ。

確かにSFに疎い僕も、代表的な作品や話題のものはいくつか読んでおり、その時は未来に思いを馳せている。「今の時代の変化の早さなら、本当にこうなるかも」といったことを考えながら。

ちなみに、本当かどうかは知らないが、寒くて治安が良い北欧のある地域では、殺人事件が起こるミステリー小説が人気だと聞いたことがある。外に出れず、実際の暮らしが平和な社会では、ミステリーのような刺激が求められるのだろう。

こうして考えてみると、やっぱり人は必要に応じて本を読んでいるのかもしれないと思う様になった。変化が激しい時代には、それに適応するためにSFを読み、退屈な生活に刺激を求めるためにミステリー小説を読む。

だから、これからのことを考えると、SFをたくさん読んで来るべき時代に構えつつ、ビジネス書を読んで知識を付けて、目の前の仕事を片付けていく必要があるのかもしれない。

しかし、願わくば時代の変化はほどほどにしてもらい、SFを読まずにのんびりとミステリー小説を読んでいたいと思ったりもする。時代の変化はワクワクするものだが、変化についていくのは疲れる。

現代人だって、たまにはのんびりしたいのだ。

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