AI起業のメンバーシップ
僕は会社員なので想像することしかできないが、AIが普及することで起業の在り方も随分変わるのではないかと思う。
ビジネスモデル次第では、生成AIにやってもらえる仕事も多くなり、少ない人数でも高い生産性を発揮することができるようになるはずだ。
労働者側は少ない給料の文句を言うものだが、人を雇う側は発生する人件費にいつも頭を悩ませている。給与を払う側にとって、毎月の給与は決して安い金額ではなく、払えなかった時は大問題にもなってしまう。
当たり前だが、世の中には色んな人がいるので、その企業に適した人材かを見極められない可能性もあれば、雇ってみたら能力が不足しているといったケースだってある。しかも、日本は解雇規制が厳しいため、正社員として雇った以上、解雇することは実質的に不可能に近く、雇ったが最後、そのまま責任を果たすようにその労働者に給与を支払い続けなければならないのだ。
労働者と雇用者の間では昔から争いは絶えず、(日本では最近あまりないが)ストライキに発展する可能性もあれば、従業員に起因する重大なトラブルだって起こりかねない。
そんな大きなリスクを抱える人材の採用だが、業務内容によっては生成AIに任せてしまうことで、人材を雇わなくて済むのである。そうすれば給与の支払いはAIの月額費用だけで済み、ストライキもトラブルも起こさず凄まじい計算能力と文章生成能力を兼ね備えた戦力が手に入るのである。(もしかしたら近い将来にAIがストライキを起こす様なSFっぽい出来事が起こるかもいしれないが、今はそれには触れない)
こういった背景から「ひとりAI起業」をする人が増えてきているらしい。上述のリスクを考えれば、これは必然的な時代の流れなのかもしれないが、労働者側からすれば、まさに「AIに仕事が奪われる」現象である。
たくさんの労働者を雇う責任と、うまくいかなかった時の代償は本当に大きい。胃がいくつあっても足りないくらいのストレスなのではないか。そう考えると、何でも言うことを聞いてくれるリーズナブルなAIは救世主になることは間違いない。
ただ、仲間がAIという会社はどんな文化なのだろうか。自分が休んでいる時もAIは働いてくれるだろう。
「お休みいただきありがとうございました。」といったやり取りはなくなるのだろうか。
何かを達成した時に飲み会はあるのか。仕事のミスをしてしまい、落ち込んでいるAIを励ますようなことはあるのか。
たぶん、こういった今までイメージできていた、会社が醸成する文化というものもガラッと変わるのだと思う。
人間とAIが協働して高い生産性を発揮する未来はイメージできるが、人間とAIが汗と涙のメンバーシップを発揮する未来をイメージするのはちょっと難しい。
とはいえ、これもまだまだ僕のSF的な想像力が足りないだけかもしれない。SF小説では、AIと人間がメンバーシップを発揮している物語は既にたくさんあるだろう。
AIとひとり起業家が仲良くメンバーシップを発揮できるようになったら、それこそ「AIに仕事を奪われる」未来が到来するということなんだろうか。
だから早いうちに、AIとは仲良くやっていこうと思う。