ノンアルコールビールという偉大な発明
いつも仕事で疲れて家に帰ると酒を飲んでしまうが、ちゃんと休肝日を作るようにしている。そんな時、強い味方になってくれるのがノンアルコールビールだ。
ノンアルコールビールを飲めば、シラフで酔っ払った気分になる。もちろん酔っ払った「気がしている」だけだが。プラシーボ効果は本当なのかもしれない。
こうして休肝日のためにノンアルコールビールを飲む人もいれば、運転する機会が多いためにノンアルを飲んでいる人もいるだろう。最近は健康志向の高まりから飲んでいる人も多いらしい。
しかし、これって物凄く不思議な商品だと思ったことはないだろうか。お酒の最大の特徴である「酔っ払う」という現象を、敢えて取り除いているのである。
開発している企業が追求している顧客のニーズは「酒を飲みたいけど酔っぱらいたくない」である。少し極端に言えば「酔いたいけど酔いたくない」と言ってるようなものだ。
もちろん、酔ってはいけない状況がありながらもお酒の魅力に負けてしまう人がいるからこそ、こういったニーズが顕在したわけだが、大昔の飲んだくれた人々がこの光景を見たら、全く理解ができないだろう。
きっと当時の商品開発部では、「ノンアルコールビールを作りたい」と会社に持っていった時に「そんな酒を誰が飲むんだ。お前、酔っ払ってるのか?」と言われて跳ね返されたに違いない。
しかし、それでもめげずに世の中に潜在している課題(飲酒運転による事故やアルコール依存症など)を解決できる商品を世に送りだしたのである。
ビールの歴史は紀元前にまで遡るが、それまで長い期間存在しなかった顧客と社会のニーズを、ゼロから市場に創出している。これはビジネスの観点で考えると凄いことだと思っている。
だから、もしかしたら近い将来には、太らない砂糖やがんにならないタバコなど、今では考えられないような商品が世の中に出回っているかもしれない。
まぁ、僕はどちらかと言うと、飲んで酔っ払いたいのだが。