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タバコとスプライト

それぞれ人にはモノを見ただけで、何か思い出すコト、思い出があるのではないか。

例えば、

僕の場合、駅で竹刀と防具袋を担いでいる少年、少女の剣士を見れば、

ぼくが中学生のころ、京都市地下鉄東西線の東山駅から武道センターまで剣道の試合をするために歩いていた時の記憶を鮮明に思い出す

とか。


モノを見ただけでぱっと自分の過去に飛んでいけるような、そんなそんな体験が多い人は素敵だと思う。


今回はその中でも最も思いれのあるモノの話をしたい。

中国の短期留学

2018年8月、1か月間の短期留学にいった。

桂林という地方都市、三江という少数民族が住む地域、北京、天津。

主に、この4つの都市を巡った。


ずっと煙草を吸っている友人(まるがお君)がいた。

僕はもともと喘息持ちだったし、服に煙草の臭いのつくのであまり好きではなかった。

その反面、やっぱりかっこいいとも思っていた。

やけど、なくも死なないし、という具合に吸ったことがなかった。


吸ってみます?

初めて吸ったとき、

久しぶりに酒を飲んだような、そんなふらふらするような感覚に襲われた。

そした、のどにイガイガが残る嫌な感じがした。

それをまるがお君に言うと、


それ、ぼくも嫌なので、いつもコーヒーで流し込んでます。

だけど、中国ではこれで流し込んでますね。シュワシュワ感もいいので。

と、差し出したのが、スプライトだった。

日本ではスプライトは炭酸飲料でもマイナーだ。

しかし、海外では日本よりも圧倒的に市民権を得ている。

ちなみに、50歳代の、僕からすれば父親世代はスプライトは懐かしさを感じさせる飲み物だとかなんとか。


たしかにスプライトは、煙草を吸った後のイガイガ感を消すのに相性がいいように感じた。

トン族との出会い

中国は多くの少数民族と漢族という圧倒的多数の民族で成り立っている。

その中で、水辺に住んでいる少数民族、トン族のフィールドワークに行った。

トン族は無類の酒好きであり、物心を覚えるころから酒を飲んでいる。

しかも、米酒(ミージウ)という、日本でいう日本酒に近いものを飲んでいる。(もちろん、若い人はビールを飲むし、日本と同様、米酒はおじさんが飲むものになりつつあるらしい。)

お酒が苦手な人にはただのアルコールに感じるかもしれない。

けれど、僕はめちゃくちゃお酒が好きなので、おいしかった。

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しかも、トン族の作る料理がこれまた、お酒に合うんだわ。

特に魚料理。

僕はお酒を飲むとめちゃくちゃご飯も食べたくなる質なので、調子に乗って飲んで、食べまくった。


とまあ、与太話はこれくらいにして。


トン族はあいさつ代わりに煙草を勧めてくる民族である。

うーん、面白い。

もしも、

煙草が吸えなかったら、ごめんなさい、吸えません。

と謝らなければならない。

これだけで貴重な機会を失うことになる。

だから、事前にまるがお君から煙草を勧められて吸っていてよかった。

残念ながら、僕は中国語を

ニーハオ (こんにちは。挨拶言葉)

シェイシェイ(ありがとう)

へんハオ(とてもよい)

の三語しか知らなかったので、十分な意思疎通はできなかったけど、単身でトン族のおばあちゃんたちと時間を過ごしたり、辞書を片手にお酒屋さんでフィールドワークをするなど、なかなか我ながらよく頑張った。


日本に帰ってきて

中国から日本に帰ってきて、中国とのつながりが消えるのが怖かった。

だから、それまで嫌だった中国語の勉強を継続し、HSK3級を取った。


そして、煙草を吸うと煙草を勧めてくれたまるがお君やトン族と一緒に過ごしたあの夏の暑い日々を思い出す。


これからも煙草を吸うたびに中国や大切な思い出を思い出せるこの幸せをかみしめる。



(番外編)

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(自家製葡萄酒。甘くて、お酒が苦手でも飲みやすいと思う。)

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この葡萄酒がスプライトの容器に入れられていたのが印象的だった。

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