人と本とトマト編 in台灣
この間、オーケストラサークルの学内演奏会があり、その打ち上げに誘ってもらった。
「みんなで夜食を食べに行くんだけど、来ない?」
夜食は中国語で宵夜(xiāoyè)。何を食べに行くんだろうと思ったら、台湾の朝ご飯屋さんだった。台湾の朝ごはん屋さんは夜から翌日の朝まで営業しているところが多い。刺青の入ったゴツい店員さんが店の前の道に長い机を運んできて、そこに座ったみんなが次から次へと口に食べ物を運んでいく。
忙しくおしゃべりしたり、笑ったり、誰かを指さしたりしながら、口にもぐもぐと食べ物を運んでいく。
無意識の優しさと好奇心から言葉が飛び交う、誰かが話していたと思うとすぐに誰かがまた割って入る。ふと隣を見ると、無意識に一点を見つめる目線が映る。あ、これでいいんだよなと思った。
この日の夜はいつもより輪を掛けて冷え込んだけれど、暖かい豆乳と新鮮な雰囲気に、帰る頃には寒いことは特に気にならなかった。
台北のおしゃれな街、中山にある誠品生活の書店に入ってみた。何よりも先に気になる日本文学の棚。わくわく。
三島由紀夫や太宰治などの文豪はもちろん、吉本ばななや村上春樹が多いラインナップ。
何より驚いたのは本の装丁。一例に、印象的な『斜陽』を撮ってみた。激動とそこに伴う悲しみが容赦無く胸を突き刺す物語ですから、この赤々と燃える夕日が描かれた表紙はかなりマッチしてると思う。(個人的にね)
『斜陽』だけでなく、夏目漱石や芥川龍之介などの名だたる小説は全てこのような感じで、素敵な絵が表紙に配置され、確か使用されている紙の素材もそれぞれだった。日本で売られている文庫本サイズの、なんの飾り気のない本たちも好きだけど、こうして万全の状態におめかししたような装丁を纏った本たちもなかなか新鮮で、ついつい手に入れたくなる。
じゃあ開いてみようということで、パラパラとページをめくってみる。
まず、目に入るのは余白という、なんと本あるまじき事態!
いやいや、それが漢字と相まってなんだかとても美しい感じなのです。
素敵な装丁とたっぷりの余白で確かに心は踊ったけど、なんだか本が遠い存在にも感じてしまった。
結局小汚いくらいが私にはちょうどいいのかもしれない…。
この間の台南旅行で、有名な老舗の果物屋さんの「莉莉水果」に行った。
実はこれが2回目の来店で、1回目に行った時はまさかここが有名なお店だとは知らず、特に果物関係なく豆花だけを頼んでしまうという頓珍漢なことをしていたのです。
ただ、その時は目の前に座った家族がまだ青いトマトを何かに付けてむしゃむしゃ食べていることは覚えていて、ちょっと気にはなっていた。
このソースには甘いみたらし団子のタレみたいなものに生姜のすり下ろしが入っていて、甘酸っぱいトマトとの相性がこれでもかとばっちり。
台湾人にこの感動を伝えたら、「そんな食べ方普段しない」って言われたし、おまけに家でささっと再現できそうだけど、新しい味だったから私のお気に入り。
今日はここら辺で。
読んでくれてありがとうございます。