何か勘違いしているような感覚をどうにかして消したいと日々奮闘しているようでしていません。

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  • 台湾にて

    留学の間に書いたものをまとめました

  • 似非オートマティズム

    パーっと書きたい時にパーっと書きますよ

最近の記事

あたらしい春

突然やってきた春の陽気は私の閉め切った部屋の中の雰囲気までも変えてしまうほど、強力だ。 きっと太陽の光の総量とか角度とか気温とか鳥の囀りとか風向きとか、そんな色んな要素が、数日前までの「冬」から確実に様子を変えているんだろうなと思う。そして私の体と心はそれをしっかり感じている。多分、こんなに季節を一身に受け止めているのは人生ではじめてのことだ。 私の周りの大切な人たちは明日から新しい環境で新しい生活をはじめる。 とても誇らしいし、肩をたたいて送り出してあげたいと思う。 花

    • 雨の日スケッチ 3/5

      駅から家までの帰路を歩く。 午後から降り出した雨が3月の寒さに輪をかける。 ヘッドフォンからの緩やかなメロディに促され、気づけば私は湿っぽい、この薄暗い夕方に溶け込もうとしていた。 排気口からの幸せな匂いに、寒さでこわばった体がするするとゆるまっていく。 肉じゃがのお宅が一軒。もう少し先に、ピーマンの肉詰めのお宅が一軒。 家々の窓から漏れる光がなぜこうも暖かく、私を惹きつけるのだろう? 特に、こんな雨の寒い日には。 5時間目。空が急に暗くなり、校庭に大粒の雨が降り出す。私は

      • 音楽やいろいろ(最近)

        最近フォークを聴いている。 夜中に部屋で一人聴いていると、だだっ広い草原にぽーんと投げ込まれるような気分になる。 要するに私はちっぽけだということが突きつけられるのだ。 直接的でシンプルな言葉が胸をめがけて降ってくる。 ささやかな痛みを噛み締める。 悲しいんだか嬉しいんだかさっぱり分からない。 別に夢とか希望とか期待だとかそういうものを歌ってるんじゃない。 しんみり悲しみに浸たったり、奮い立たったりするようなものでもない。 頭を冷やすという感じに近いと思う。 軸がぶれっ

        • 鬱憤晴文学を読む

          中国語では読書家のことを「書迷」(シューミー)と言うらしい。ニュアンス的には本をむさぼり読む人、という感じだ。 私は書迷の域に達してはいないが、読書は好きだ。それも、数冊の本を同時に読み進める、名付けて、同時多発読みをしちゃうタイプの人だ。 今はざっと4冊くらいを並行して読み進めているが、同時多発読みをしていてよかったこと?面白いこと?があったのでここに記録しておこうと思う。 卒論では埴谷雄高について書こうと思っているため、最近戦後派文学に触れておきたいという理由から、野

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        • 台湾にて
          5本
        • 似非オートマティズム
          2本

        記事

          生きたい!!!!!

          時間は一定ではない。 主観的なものである。 一度没入してしまえば時間など消滅するのである。 私はそのコツを掴むのに時間がかかっている。 気持ちとうまく波長を合わせて、ある物事に取り掛かる必要があるからだ。 今日、朝起きたら虚無の谷底にいた。 あらゆる不安と焦燥と絶望とが頭を渦巻き、それによって誘発される涙をも、押し込める始末。 泣くという行為はみっともないではないか。 私は何年も前から涙に頼ってばかりいるのだから尚いっそうそう思わずにいられぬ。 だから、時間の忘却こそが救いだ

          生きたい!!!!!

          似非オートマティズム② 家事のこと

          このシリーズではとってもとっても即時的で突発的に胸の内をぶちまけてやろうと試みるものです。いかに時間をかけないか、がポイントです。いわば瞬間冷凍のようなものです。 12/28 家族について。 家族の雰囲気が邪悪になる原因は決まって、家事の分担にある。私の両親は共働きであるから、どうしても母親の負担が多くなってしまう。 父親はもちろん、妹も深夜バイトやら友人との外出やらで全然家におらず、決まって私が母親の次に家事をする。まあ基本家にいるんだから良いんであるが、なんかなあ。

          似非オートマティズム② 家事のこと

          似非オートマティズム①

          このシリーズではとってもとっても即時的で突発的に胸の内をぶちまけてやろうと試みるものです。いかに時間をかけないか、がポイントです。いわば瞬間冷凍のようなものです。 12/23 今日で今年のバイト終わり 点滅社の『鬱の本』早く欲しい 最近虚無の谷底に落っこちそうですぐにゃみだが出る 詰まっている感じがする 年内までに終わらせることを思い出したので、挙げてみよう。 メモをワードに書き直す、お香たてを完成させる、部屋の掃除、来年の学校のことを整理する、メルカリで売るものまとめる

          似非オートマティズム①

          他者のいない小説

          小説と言えるほどのものでもないけれど、先月原稿用紙30枚くらいの短編を書いた。 私の見たもの、聞いたもの、感じたもの、考えたことの断片がガタガタの糸で継ぎ接ぎに縫われているような話になった。 かなり独りよがりでうだうだしていて、出来は悪い。 でも、完成したら何だかすっきりした気持ちになった。 小説の教室に提出し、ざっと15人くらいの生徒たちに批評をもらう。 緊張する私を囲むのは、綺麗なまつ毛がくるんとカールされた婦人、マンションの自治会会長を務めるおじさま、フリーターの二十

          他者のいない小説

          味方さがし

          バイトを1ヶ月足らずで辞めた。 割と初期の頃から社員の態度や全体の雰囲気が気に食わなかったが、もうそれが限界に達して辞めることにした。 私は今までどんな環境にも順応できることに対して自信を持っていたし、時にはそれが受け身の証明のように思えてつまらないことだとも感じていた。 しかし、やっぱりそんなことは無かった! 私が嫌だと思う世界や人間は存在する! 退勤後に怒りが抑えられず、休憩室にいたまだ一度も喋ったことも無いアルバイトのお姉さんにいきなり「私やめますから」と言って帰っ

          味方さがし

          逃避、思考、行き着く先は?

          私は逃げている。 何から逃げているか?現実から逃げている。 社会の中で「生活」するために必要なことに立ち向かうことから逃げている。 両親は仕事へ、妹は学校へ、毎朝起きると家には猫以外誰もいない。 特に何をするでもない。本を読んだり物を書いたり。こんな毎日はかつて中学生や高校生だった私にとって羨望の日々だったに違いない。 毎日テストや課題のことばかり考えていたし、大嫌いな数学も泣きながら必死に解いていたような学生だったから、毎日が休みならばどんなに幸せだろうかとよく思ったものだ

          逃避、思考、行き着く先は?

          みぞおちの永遠なる陥没

          心がやすりでごしごしと、擦られる そして、みぞおちが突然陥没したような感じ こんな時は焦っている 「俺は俺のペースでやるんで、」 屋根に寝そべりながらタバコをふかす余裕も度胸も私には毛頭無い 大好物の中トロがターンテーブルの中心に置かれ、周りにはその他の平凡な寿司が囲んでいる。私は中トロを食べるのを夢見ながら、周りの玉子やイカやサーモンを取っては腹を満たしている。 その時が、幸せ。 安心安全の保証が付いている、幸福。 目の前にある好物に手が届くというまさにそのじれったい

          みぞおちの永遠なる陥没

          何か書かねばならぬん

          ここ1週間、めっぽう気分が悪い。 これを孤独というのかしら。前にも後ろにも楽しいことが何にも無くって、私は狭い狭いところでクサクサしながら、今日も図書館に行くが、なぜ図書館に行かなければいけないのかいちいち理由が欲しくなる。 ああ、何にも楽しいことなんてないな、死にたいな、 脳内はこれの繰り返しである。私は死にたい意識と同居している。 まあ、死にたいなんてたやすく言葉にする奴の方が実際死なないんだ、なんて思ったりして、そんな自分を鼻で笑ったりする。でも、その余裕にうかうかと

          何か書かねばならぬん

          人には人の留学がありまして!

          ここでいきなり、私の留学の本当の動機を告白しよう。 それは「とりあえず一旦日本から逃げたい」というものだ。 なんだ、ずいぶんネガティブだなあ、そう思ったことだろう。 留学については、中学生くらいから漠然と海外に憧れみたいなものがあり、ずっといつかはしてみたいと思っていたし、英語と中国語を話せるようになりたいという目標を持っていた。 しかしコロナ禍において、私は憂鬱で隙があらば浮かんでくるようなもやもやとした自意識に悩まされた。 それを対処しようとしても、毎日こなさなけれ

          人には人の留学がありまして!

          苦いあいつ in台湾

          どうしても、やってみたいことがあった。 「これをやってみたいんだけど…。」 周りの台湾人に伝えると、こぞって「やめときなよ!いいことないよ!」とかんばしくない反応が返ってくるのがオチだ。 でも、どうしてもやってみたくて、じわじわと私を追い詰めてくる好奇心に争うことができないでいた。 そんな、私の好奇心を掻き立てたやつの名は、檳榔(ビンロウ)。 ビンロウとは、ヤシの仲間の植物で、親指くらいの小さい実がなる。噛みタバコのようにその実を噛むと、タバコやアルコールを摂取すると感じ

          苦いあいつ in台湾

          映画の乱雑な所感

          1週間前くらいから台湾では春節が始まって、人々は我が家に帰り、台北の街や私の住む寮は少し静かになった。晴れの日にはたまに大学の裏の山道や川沿いをぷらぷら歩いて、広い空を感じたりしてみたんだ。 だけど、ほぼ寮の部屋にいて、いつものように頭でっかちな自分と向き合う羽目になった。 ま、それはそれでいいんだけどね。 ところで、いつもは映画を観ようと思い立っても、物語に心が圧倒されてしまうことを恐れて、実際に観るところまでなかなか至らない。 しかし、そんな臆病者があら不思議、ここ最近

          映画の乱雑な所感

          人と本とトマト編 in台灣

          この間、オーケストラサークルの学内演奏会があり、その打ち上げに誘ってもらった。 「みんなで夜食を食べに行くんだけど、来ない?」 夜食は中国語で宵夜(xiāoyè)。何を食べに行くんだろうと思ったら、台湾の朝ご飯屋さんだった。台湾の朝ごはん屋さんは夜から翌日の朝まで営業しているところが多い。刺青の入ったゴツい店員さんが店の前の道に長い机を運んできて、そこに座ったみんなが次から次へと口に食べ物を運んでいく。 忙しくおしゃべりしたり、笑ったり、誰かを指さしたりしながら、口にも

          人と本とトマト編 in台灣