眠れないときは、反逆
眠れなくて寝返り地獄がはじまりそうなときはいっそのこと開き直るしかない。「とりあえず横になって眼を閉じれば疲れが取れる」なんて気休め神話を真に受けるんじゃないぞ。余計に神経を消耗するだけだ。羊を数えたりモーツァルトを流したり「純粋理性批判」を開いたりチンチンをしごいたりしても全然眠気はやってこないからな。眠る為の努力が焦りを促しますます脳は冴え渡ってしまう。自律神経が乱調を来す。そうなったらもう諦めるしかない。今日は一睡もしないぞと布団を蹴り上げ濃い目の紅茶を淹れてジュ―ダス・プリーストでも聴こう。
事実一日や二日眠らないくらいで人は死んだりしない。多少その日は瞼が重くイライラも募りやすいかもしれないけれど我慢できないくらいではない。もとより人は生きているだけでその何十倍何百倍もの我慢を強いられているんだ。睡眠不足くらい取るに足らないことだ。それにどうせ社会を構成している大半の人間は賃金の為に働いているふりをしているだけだからほとんど何の実害もありはしない。例の「睡眠負債」なんか糞くらえだ。「健康ジャーナリズム」の連中は何かにつけて人心を不安にさせる話題を垂れ流す。コレステロール問題しかり、塩分過剰問題しかり、アルコール問題しかり、糖質過剰問題しかり、喫煙問題しかり。欲求不満の凡人どもがやけっぱちで愚行権を行使しているんだから、ほっとけと思う。遅かれ早かれ人間は病気になって死ぬんだよ。社会の底流にくすぶる者たちのあの不摂生自堕落な生活は緩慢な自殺に他ならないんだ。そのくらい分かってくれ。
ところで連続不眠時間の公式世界記録を知っていますか。二六四時間と十二分だそうです。日数に換算すれば十一日だ。しかしクレイジーな奴がいたもんだ。それに比べれば二三日の不眠なんかちっとも問題にならない。なんならそのアメリカ人高校生の記録を破っちまえよ。彼がその後どうなったかは寡聞にして知らないけれども。
ようやくちょっと眠たくなってきた。次はプロ野球ファンという愚かだが実に幸福な集団について書きたい。というのも僕自身、その愚か者集団の一員なのだ。おやすみなさい。