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「創作大賞感想」【はざまの街で】#私の推しごと



私が、このnoteの街に来たのが昨年の7月16日、右も左も分からないまま、ただ駄文を書き殴っていた頃に出会ったのが、とーとさんが書いたこの「はざまの街で」だった。
あの頃の私は、表面上は主人の死から立ち直ったような素振りで、実はまだ心の中は傷痕やカサブタだらけだった。

誰かに何かに、癒して欲しい……そんなすがるような想いで、この物語を読み耽ったのは、まだ記憶に新しい。


私の鬱陶しい暑苦しい感想を読む前に、とにかく第一話を読んで欲しい。
特に今、心が疲れている人、病んでいる人、明日への希望が持てない人…

私は、この物語に救われた。


魂というモノがあるのなら、輪廻転生というモノがもしもあるのなら、こうして人は救われていって欲しいと願う。
フィクションでも、ファンタジーでも構わない。人の優しさが要所々々で心を打つ。思いやりと思いやりが重なり合って、人の心を癒していく。
でも決して宗教的な物語でも思想を押し付けてくるる訳でもない。淡々とした日常を描きながら、荒んでいた心を正常(この言葉も当てはまらないかもしれない)に帰していく小説だ。

舞台は、何処かの田舎町、少し小高い山の上に主人公の志郎は住んでいる。彼は穏やかな性格で、いつも縁側で本を読むのだけが趣味のような地味な男だ。
其処へ来栖という正体不明な男が、いつも客人を連れて来るところから物語は始まる。

緩やかに流れていく話だが、とーとさんは人物描写、情景描写が細やかなので、読んでいて目の前にその光景が鮮やかに浮かび上がって来る。
彼が描くと「風」一つをとってみても、季節ごとにその色や強さや匂い、吹き方を変える。これが小説の基本中の基本だと思うが、守れずに書いている人は私も含めて数多い(反省中)
テクニックを全面に押し出すような文体ではないのに、読了後にその上手さに感嘆してしまう。
あぁ、私もこういう自然で流れるような文章で、いつか人を魅了してみたい。時に憧れと嫉妬さえ抱かせるような文章だ。
もちろん、内容が良いのは冒頭で述べたように言うまでもない。
人の「死」をテーマにした物語で、かつてこんなにも優しい話が、あっただろうか。

人は絶対にいつか必ず「死ぬ」


命ある物が滅びゆくのは知能ある人間でさえ避けられない事実で命題だ。そこに「後悔」があったとしても、人生にやり直しはきかない。でももしも、この街があったら…

どうか皆さんも、とーとさんの筆に酔ってください、癒されてください。
私は、もう大丈夫(笑)一年間、私を癒し続けてくださって、ありがとうございます。
でもまた、挫けそうになった時、泣きたくなった時は、「はざまの街で」に私の足は向くでしょう。其処には志郎さんや郁美さんが居て、きっと微笑みながら美味しいお料理で私を癒してくれることでしょう…

とーとさん、一年間ありがとうございましたm(__)m



とーとさん、寝る前に子供がお話をせがむように「書いて、書いて」と言い続けて、ごめんなさい(苦笑)
きっと、この物語が私のように愛する人を喪った人の心を癒してくれると思います。言葉には力があります。言霊が宿っていると私は信じています。




何もかも手放した時に人は満ちていく。


ましゃこさんの初めての企画に私の一年間の「推しごと」で参加させてくださいね。よろしくお願いします。


車椅子を押していた日々、
さようなら








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