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算命学余話 #G12玄 「基礎編#10 基礎鑑定実践」/バックナンバー

 前回の基礎編#9までで、算命学の基礎技法は概ね揃いました。意外に簡素だと思われるかもしれませんが、これら基礎技法だけでもかなりの範囲の鑑定が可能です。細部についてはより高度な技法や知識を駆使していかなければなりませんが、宿命の概観ならこれだけでも十分組み立てられます。
 既に基礎編でも述べた通り、算命学で云うところの宿命とは生年月日のことであり、それはその人がこの世に生まれた瞬間の自然風景を表したものです。夏に生まれれば暑さや日射が、冬に生まれれば寒さや冬籠りが、その人の人生全体に何らかの重要な作用を及ぼすという発想は、算命学を知らなくとも理解に難くないと思います。算命学はそれを更に進めて、生まれた日の日干を本人に見立て、それ以外の二天干・三地支を周辺環境、人間関係に置き換えれば、その人の一生を俯瞰できるという考えに基づいて鑑定理論を組み上げています。

 従って、算命学の画一的な技法から言えば、同じ生年月日の人は同じ宿命を持つという理屈になります。しかし実際のところ、生年月日が同じ人であっても同じ人生を歩むはずはありません。双子として生まれても完全には合致しない。なぜなら、実際の生活における環境が同じでないからです。
 一番典型的なのが、両親です。両親には個性があり、自分の宿命があり、それぞれ歩んできた半生がある。生まれた子供はそうした親の個性から養分をもらって成長するので、たとえ生年月日が同じであっても、親が違ったら当然子供の人生は違った伸び方をしていきます。双子の場合は両親も同じですが、母親が長男を抱いていたら、次男はその瞬間は母親には抱かれていません。父親が次男の着替えを手伝っている間は、長男は待っているか、他の誰かに手伝ってもらいます。双子が同じベンチに座っていても、どちらかが右に座ればもう片方は左に座る。たったこれだけの差であっても、人生は同じとは言えないのです。その先成長していけば両者の差が更に開いていくことは、想像に難くありません。だから「宿命」が同じ人はいくらでもいますが、「人生」まで同じ人は一人もいないのです。

 繰り返しになりますが、算命学では宿命と運命を別物と考えています。宿命は不変です。そして同じ宿命の人、つまり同じ生年月日の人はこの世に何人もいます。しかし運命は読んで字の如く「運動する」ものなので可変です。その変化の仕様は無数にあるため、運命が同じ人というのは一人もいない。運命は、言い換えれば人生のことであり、どう生きるかによっていい人生にも悪い人生にもなり得る。算命学が推奨する生き方とは、よりいい人生になるような生き方であり、そのために実生活で何をすればいいのかを探る手段として、算命学の鑑定技法があるのです。

 算命学の限界は、その断言できる範囲が宿命レベルに留まるというところにあります。言い換えれば、算命学は宿命に描かれた自然風景の大枠しか捉えられないということです。従って、宿命判断だけを要求されれば、これまでの基礎編に出てきた技法を使えば難なく解答することはできますが、それ以上の、例えばいま現在こういう問題に直面していて、解決策を求むといった要求には、宿命だけでは情報不足で解答は難しい。
 ではどうやって正確な解決方法を導き出すかといえば、実際の生活状況を聞き出すのです。可変である運命をその人がどうアレンジして生きて来たかを尋ね、その歩みと宿命を照合し、宿命消化の具合を判断するのです。宿命消化が順調であれば現実生活にも支障は出ません。しかし支障が出ている、こじれた問題がある、ということは、その人の実生活が宿命から外れている証拠なのです。それを正すために宿命を精査し、道から外れた当人を本来あるべき道へと誘導するのが算命学鑑定の役割なのです。

 というわけで、算命学による運勢相談には、宿命(=生年月日)と運命(=実際に生きた履歴)の二本が欠かせないのですが、その人の履歴を聞き出すのに技術はいりません。本人が隠しさえしなければ、ありのままを語ってもらえば済むからです。尤も、それには依頼者と鑑定者の間の信頼関係が必須ですから、強いて言えば、鑑定者自身が信頼に足る人間であることが必要条件です。これも技術のうちとするなら、そう捉えても構いません。
 しかし文字通りの技術となれば、それは宿命の算出とその読み込みに尽きます。今回の余話は、基礎編のまとめとして過去9回分の基礎技法を使った鑑定シミュレーションを掲示します。基礎技法だけでどこまで見れるものなのか、ご実見下さい。参考まで、基礎編第9回までのテーマは以下の通りです。

第一回「根本思想」
第二回「干支とは」
第三回「干支に見る性格と本能」
第四回「陰占と陽占」
第五回「人体図の算出」
第六回「人体図を読む」
第七回「エネルギーを読む」
第八回「二十八元法と大運法」
第九回「天中殺の扱い」

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