秋の青梅・御嶽山散歩 #わたしがみつけた多摩と島
急に冷え込む日もあれば、上着を腕にかけて歩きたくなるくらい汗ばむ日もあれば。「秋だと実感できるような日は一体何日くらいあっただろう」と思いならふとカレンダーに目をやると、残り2枚の薄いそれが、佇んでいる。
秋なんて通り越して、もう、冬がやってきてしまう。そういえば、街のあちこちにキラキラ光るイルミネーションだって登場しているものね。
「どの季節よりも秋を愛しているのか」と問われると、別にそういうわけではない。でも、できるかぎり、その季節の美しさを感じていたいと思う。できる限りの時間を使って。
そう、わたしはいま、秋だから紅葉が見たい。多くの人が同じように感じて、京都の坂道に、お寺に、人々がぎゅうっと押し寄せているというニュースを見ては「人混みは嫌だな」なんて言いつつも、職場から家までの道すがらのイチョウではなんだか物足りないと感じてしまう。
せっかく行くならば、ミーハーと言われるのかもしれないけれども、どこかに足を運んで「行ってきた」という経験がしたいと思う。たぶん、「足を運んで満喫した」というそれが欲しい。わたしと、わたしの大切な人たちのために。
そんなわけで、電車にゆらゆら揺られて一時間ちょっと。青梅は御嶽山で、ハイキングをしてきました。
● 御岳山ケーブルカー
まずは、関東一の平均勾配22度という関東一急なケーブルカーで御岳山駅へ。電車好きにはたまらないシチュエーションです。
ぐっと高度があがっていくのを感じたり、途中で上から下ってくるケーブルカーとすれ違えたりと、日頃の電車移動では味わえないワクワク感を味わってきました。
●天空もみじまつり
御嶽山駅から武蔵御嶽山神社までの道中は、ちょっとしたハイキングコースになっていて。紅葉を楽しみながら、山道を登っていきます。
●宿坊・茶処 東馬場
ケーブルカーに舞い上がって、カメラ片手に意気込んでハイキングをはじめたらすぐにお腹が空いてしまったので、神社へ向かう前に腹ごしらえ。
こちらは、重要文化財にも指定されている宿坊・茶処。宿坊って「お寺さんに泊まる」みたいなイメージをもっていたけれど、こちらは「神主さんのお宅に泊まる」スタイルだそう。
胡麻たっぷりのおにぎりと、お野菜やお餅がたっぷり入ったお清め汁は、精進料理を連想させる質素だけれどもあったかいお味でした。
またいつか、泊まりに行ってみたいな。
●武蔵御嶽山神社
標高929mの山頂から関東一円を見下ろす天空の神社、武蔵御嶽山神社。ミーハーの極みなので、御朱印もいただいてきました。
生まれて初めて経験したお葬式は、小学生の頃、ひいおばあちゃんのお葬式。100歳を超える大往生だったその最後は、玉串を捧げる神道のものでした。
あの日から、神様の前では二礼二拍手一礼をしては、神様に、ひいおばあちゃんに見守られているようなあったかくて、でも、シャキンとした気持ちになれる
神社は、わたしにとってそんな場所です。
●御嶽橋
帰り道も、どんぐりを拾ったり綺麗な落ち葉を探したりと楽しみながら下山。
ケーブルカーとバスを乗り継いで、御嶽駅前の御嶽橋から、この日登った山を見つめて「よし、紅葉みたぞ!」とガッツポーズ。
周りの優しさにも恵まれて、良い思い出を作ってきました。
「夏が秋になって、秋が冬になる」という当たり前なことたちも、日々の生活の中でじんわりとでも足速に過ぎていってしまうから。色づいた葉が落ちて、次の季節が巡ってくる様は、やっぱり喜びに満ちているわけで。
その高揚を、体験としてぎゅっと大切に仕舞い込みたいから、きっと、来年も再来年も、わたしは紅葉を眺めに行くんだろうな。