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#長い読書
#長い読書 読了。悲しい時ほど読書の時間が確保できる不思議。親父が心筋梗塞、脳梗塞と2年連続で倒れた時、病院に向かう電車の中で、病室でたくさんの本を読んだ。タイトルは思い出せないが。家族が大変な時に支えてくれた本には感謝しかない。「そば屋さん」好きです✨
丁寧に作られた本は、ほぼ例外なく読みやすい。島田さんの本は、どれもがページをめくる楽しみがある。それは本文が面白いのはもちろん、作り手の読者への想いが伝わるからめくる行為が愛おしいのだ。義父との日々を綴った「長い読書」。ボクはバアちゃんとのことを思い出した。ジイちゃんを亡くしたバアちゃんは、乾電池を抜かれた玩具のように生気を失い、急激にやつれていき、認知症になるまであっという間だった。口喧嘩が絶えない夫婦だったが、それが二人のコミュニケーションの形だったのだろう。言い合う相手を失ったバアちゃんは、その現実を受け入れたくがないために認知症に自ら寄っていったように思う。記憶はなくなり、ボクを認識できなくなったバアちゃんを見るのが辛く、入所した施設へはなかなか足が延ばせなかった。最後に行った時、あら素敵な方!デートしましょ、とバアちゃんに言われた一言が忘れられない。
戦後バアちゃんは栃木から吉祥寺に丁稚奉公に。働き先に恵まれ、復興する街の活気を浴びたバアちゃんはハイカラだった。オシャレで、一人でふらりと流行りの映画を見に行ったり、芝居を楽しんだりしていた。お話しましょ!でも、お茶しましょ!でもなく、デートという単語を使うあたりがバアちゃんらしいなと。今にして思えば最後までハイカラさんだった。
読書は思い出を喚起させる装置でもある。バアちゃんとの思い出を蘇らせてくれた島田さんに感謝。と同時に丁寧に綴る大切さを再認識した。良書です✨