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ノイマン『女性の深層』と個性化

神話とか昔話とかを、人間の心の発達という観点からみるのは、けっこう面白いと思います。

人間の心理的発達についてユング派のエーリッヒ・ノイマンさんは神話との関連から書かれています。

私などは、ノイマンさんの本を読んでも、たぶん全然理解できていないのですが、それでも、何か「なるほど」と思ってしまうことがあります。

「個性化」、すなわち、――自分の個性が表に出てきてほんらいの自分にまとめあげられていく――と、言うのは簡単ですが、なかなか難しいプロセスでもあるように思います。特に、日本社会ではいまだそうかもしれません。

でも、現代の女性の中には、もう魂の衝動としか言い表せないようなかたちで、「個性化」のプロセスに突き進んでゆく人たちもいるようです。

個性化は、女性の発達の最高段階として女性の自己発見へと導く。男性的なものとの出合いは今や内面的な出合いとなり、女性は自分自身の男性性を体験するのである。こうして女性は、かつては外部への投影として体験していた心的要素を今や内部に意識するようになる。発達の第一段階を特徴づけていたあらゆる象徴とその内容がもういちど姿を見せる。しかし今回は人格全体の統合と心の発達のしるしを帯びて現われる。この発達の中心は、もはや自我ではなく、統一された心の中心としての自己にほかならない。

エーリッヒ・ノイマン 1953年『女性の深層』

私はユング派の専門ではないのですが、ユング派からは様々なことを学んでもいて、メタスキル的なものとして大切にしています。

素晴らしい能力のある女性たちが、これまでの時代にあったような競争とか対立とは別の様式で、ご自身の価値と力を使っていけるように、これからも当相談室は支援していきます。

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