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心配のねっこ

わたしは、『人からどう思われているか気になった瞬間から、自信を持って自分らしく振る舞えなくなる』と、思っている。
 その対象が自分なら、気になるところをしないようにするか、言ってくる人から離れることが出来るかもしれない。それでも苦しい。子育てだとそれもできない。子どもは私じゃないから。

娘は、もうすぐ2年生。先日の保護者会で、「2年生になったらランドセルに付ける黄色いカバーはもう使いません」と聞いた時は、わかっちゃいたけど、衝撃だった。

あれって、小学生の初心者マークみたいなもんじゃないですか。
ピッカピカの1年生の証。何をしてもかわいいねと言われる、1年生。宿題も何もかも、慣れてないもんねと許される1年生。
でも、なんだかんだ月日は過ぎていき、あー、娘は2年生になるんだなと改めて思った。

そんな2月。
彼女はあわよくば、
半袖を着ようと企む。
(因みに今日は半袖で登校した)

末端冷え性で、ヒートテックも極暖を着ている母には、冬に半袖なんてにわかに信じがたい。『極暖』手放せない。なんなら長ズボンに長くつ下はく。
因みに、我が家は北海道ではないが、沖縄でもない。つまり、2月の朝には霜柱が出来るくらいには普通に寒い。

私は、
『寒いから長袖着てもらいたい。』と、
『もう本人に任せたい』
という気持ちとで、ずっと揺れている。

万年半袖の子いたけどさ、まさか我が子がそうなるとは(幼児の時は普通にトレーナーにジャンパー着てた。)

まぁ、彼女も、ものすごく寒い日は、薄手のジャケットを羽織るので、もう何も言わなくて良いかとも思う。
でも、もし風邪ひいたら、とも思うので、一応毎度声かけはしてしまう。
「寒くないの?」

この冬、もういろんな人から何千回と聞かれたであろう。
娘のこの冬の流行語大賞間違いなしだ
「寒くないの?」

そう言われても「うん!寒くない」と答える娘は強い。

でも、『心配』だから、声をかけないでは居られない。

でも、
一体何が『心配』なんだろうと、自分で掘り下げると、風邪ひくばかりでないかもしれない。

「もうちょっと教育したほうが良いんじゃないか」
ある日のこと、何についてのことか分からず、娘に対してそう思っている人がいると夫から聞いた時があった。その時の私の心はモヤモヤと揺れた。

何を教育できてないと思ったんだろう?

いつもは気にならない娘の言動も、きちんとさせなくてはと、厳しくなったりした。
薄着は、どう思われるのか。
ご飯の食べ方は?
言葉遣いは?
気になった。

結局それは、手を洗う時に袖をまくってということだったのだが、
急に娘に対して、これで良いんだという自信がしぼんでしまい、すべてにおいてきちんと見せなくては、という気持ちになってしまっていた。

きちんとしててもしてなくても、娘に罰が与えられるわけでもないのに。

また別のある日、プレーパークにいった。よく知るスタッフさんと話していて、「私は良い子を育ててるんじゃなくて『面白い子』を育ててるんだと思うことにした」と話した。
すると、その人は、遠くで遊んでいる娘を指さしながら
「良いじゃーん!!ほら、めっちゃ楽しそうだし、うんうん、面白い子に育ってる!すごい素敵!!」と言ってくれたのだ。

その瞬間、私は半袖でもなんでも娘のやりたいようにやらせたい、と思った。

ああ、なんてブレブレなんでしょう。
それくらい、他人の目の影響力って、大きい。知らない人が知らない人に向けて投稿した言葉でさえも、クリティカルヒットしたりするのだよ。困ったもんだ。

でも、人間なんて、きっとブレるものなんだよなぁ。だから、『そのまんまで良いよ』という本が売れたりする。だから、見ず知らずの人に向けた言葉こそ、細心の注意を払う。

わたしは、『人からどう思われているか気になった瞬間から、自信を持って自分らしく振る舞えなくなる』と、思っている。
 その対象が自分なら、気になるところをしないようにするか、言ってくる人から離れることが出来るかもしれない。それでも苦しい。それが、子育てだとそれもできない。子どもは私じゃないから。

ぶれた時に思う。
最終的に私は娘に勝てない。

娘の人生は娘が決める。

嫌がる娘にむりやり着せたりすることはできない。
結局着る服は娘が選ぶ。

そしてその時私は、私の心配が、根っこは娘そのものから来てないことを自覚せざるおえないのだ。
他人に思われてないだろうか「上手く教育できてない母」と。誰かを不快にさせてはいないだろうか。と。

オロオロし、言い尽くされたいつもの言葉をかけて、心配することしかできない。夕方は寒くなるよとか、見通しを話すことしかできない。我が子が「寒い」といってきた時のために、予備の上着を持っておくことくらいしかできない。

揺れている間にも娘は成長していく。
そのうちに、半袖でも違和感のない季節がやってきて、娘は小学生の初心者マークを外すのだろう。
私に心配され見守られながら、
娘は娘の人生を生きていく。

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