Quick & Dirtyは自分への手紙
思いついたアイデアを即座に文字に起こすこと、それはまるで自分自身への手紙を書くようなものです。脳の有機メモリーの容量は限られており、増設もできない。だからどんなに優れたアイデアでも、頭の中に留めておくだけではすぐに忘れてしまいます。だからこそ、アイデアを文字に起こし、形あるもの、目に見えるものにするのです。これは一種の備忘録でもあり、後で見返すことで新たな発見やインスピレーションを得ることができます。
どんな些細なことでも、断片的なアイデアでも構いません。将来の使い道などは考えずに、とにかく早く書き留めておくことが大切です。奇抜で自分でも笑ってしまうような突拍子もないアイデアこそ、書き留めておく価値があります。そうしないと、アイデアの海深くに沈んでしまい、大航海時代の遭難船のように、二度と浮かび上がってこないかもしれません。
英語には「Back-of-the-Envelope Calculation」というフレーズがあります(EnvelopeではなくNapkinの場合もあります)。フェルミ推定のエピソードに由来するものですが、そのとおり、たまたま手近にあった封筒の裏にアイデアを書き留めることで、その場での思考が形あるものになり、そして次の行動に繋げることができます。
どんなに些細なアイデアでも、思いついたらすぐに書き留めておく習慣が、いつか役に立ちます。誰かに見せるわけでもないので、整えてきれいにまとめる必要もありません。Quick & Dirtyで充分です。例えば…
アイデアが浮かぶ
突然のひらめきや、日常の中でふと感じたことがアイデアの種となります。
Quick & Dirtyで書き留める
そのアイデアをすぐに何かに書き留めます。ノート、スマホのメモアプリ、手近な紙切れなど、何でも構いません。重要なのは、アイデアを「形あるもの」にすることです。
再発見する
時間が経った後、そのメモを見返します。判読できない場合も稀にありますが、それは新たなインスピレーションを追加する「幸運な空白」と考えましょう。新たな視点や状況の変化により、以前は見えなかった可能性が見えてくることがあります。
アイデアを昇華させる
見返したアイデアを元に、さらに良いアイデアへと発展させます。新たな要素を加えたり、他のアイデアと組み合わせたりすることで、より具体的で実現可能なものに昇華させるのです。
このプロセスを重ねていくことで蓄積が増え、アイデアは洗練されていき、いずれ本当に役立つものへと成熟していきます。とりあえず書いておくだけのQuick & Dirtyなアイデアの記録は、その第一歩なのです。
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