正式発表、シヴィライゼーション7。『7』への期待と、前作『6』の反省会
4Xストラテジーゲームの王、『シヴィライゼーション』の最新作が、正式にアナウンスされました。発売は2025年を予定。
前々から制作中の話はありましたので、特に驚きがあるとかではありませんが、前作『6』の発売が1996年で約10年振りの新作と聞くと、けっこう間が空いたんだなという印象です。
あれだけ出ない、出ないと嘆いていたParadoxの『Victoria 3』が13年振り、『Europa Universalis IV』なんて2013年発売ながら未だ現役ですから、大作ストラテジーゲームの制作は本当に長期化しています。
今回アナウンスされた『シヴィライゼーション7』ですが、ゲーム内容などはまったく触れられておらず、「オレはやるぜ、オレはやるぜ」という決意表明のお知らせのみ。
ですから本来、要望もなにもないのですが、歴代作の中で前作の『6』だけは楽しむことができなかった私としては、『シヴィライゼーション7』には本当に期待したい。
ブログでは、なぜ自分にとって『6』がダメだったのかを長々と綴ってますが、本能に任せて書き殴ったせいで、あまりに冗長な文章になってしまいました。
なので改めてこちらで『6』の反省を踏まえつつ、来るべき『シヴィライゼーション7』への期待を記したいと思います。
演出面はその調子で頑張ってくれ!
『シヴィライゼーション』のナイスなところとして、私がまっさきに挙げたいのは、「とりあえず、なんか面白そうに見える」こと。
これです。
多くのストラテジーゲームは、パッと見で面白そうに見えません。難しそう、長そう、細かそう、臭そう、などと思われても、「まぁそうだよな」というビジュアルをしています。
その点『シヴィライゼーション6』のアートディレクションは、マニア以外のゲーマーが見ても、面白そうに見えます。見えますよね?
一部には『6』の指導者のビジュアルがカートゥーン調になったことを嘆く声もありましたが、ストラテジーゲームへの心理的なハードルを下げるという意味では本当にいい仕事をしたと思います。
ピラミッドや自由の女神などを建設した時の演出も素敵です。
あとは音楽面も素晴らしい。
これは『4』の音楽担当にChristopher Tinを起用した頃からの傾向ですが、音楽を単なるBGMではなく、ゲームのコンセプトを伝える手段として活用しています。
これによって『シヴィライゼーション』が何を楽しむゲームなのか、というメッセージがふんわりとですが、未経験プレイヤーにも伝わります。
この点はParadoxも見習うように。
だから引き続き『シヴィライゼーション7』でも、演出面はなんかうまいことやってほしい。
頼むから数字の洪水は勘弁してくれ!
『シヴィライゼーション6』は多くの新ゲームシステムを盛り込みました。野心作と言っていいと思います。
しかしそれを数字の羅列で表現するのは、勘弁してほしい。
+1、-2、+4、+6、-1、-5、・・・。
『シヴィライゼーション6』はとにかく、数字で溢れています。
意図は理解できるのです。
原因と結果を明確にしたい。
なぜ、この都市の生産力が20であって21でないのか。
なぜ、あの都市の農業生産が-2の赤字なのか。
ゲームで起こっている事象の原因を、しっかりと説明しようとしています。
それは分かる。
でもいくらなんでも多すぎる。
ゲームメカニクスが剥き出しになりすぎていて、人類文明のロマンやら、オレはやったぜという達成感やら、そういうエモーショナルな部分がスポイルされてしまっています。
数字で優位性を示すために、最適解を目指す導線が強くなりすぎていて、まるでパズルゲームのように見えてしまう。
戦略を考えるための数字はもちろん必要だし、そこを詰めていくのは個人的にも好きですが、そこらへんのバランスはなんかうまいことやってほしい。
戦略がワンパターンにならないようにしてくれ!
ご存知のように『シヴィライゼーション』には、戦争で世界を統一する「制覇勝利」以外に、科学、文化、宗教などといった複数の勝利条件があります。
しかし『6』においては、やはり戦争、戦争が全てを解決するという傾向が強すぎたと感じます。
・序盤に戦争で領土を拡大して国力を確保する。
・科学や文化などのスコアでリードしている文明を、戦争で弱らせる。
といったパターンが、どの勝利条件においても成立しやすいので結局、制覇勝利を目指すのとゲームプレイがあまり変わらない、という印象が強かったです。
この点は『5』の方がよくできましたが、『5』は『5』で領土拡大がしにくく、それは『シヴィライゼーション』というタイトルとしては外連味に欠ける気がします。
なので『シヴィライゼーション7』では、そこらへんはなんかうまいことやってほしい。
戦闘ルーティンにあまり無理をさせないでくれ!
『6』の発売直後の最大の問題点は、AIの戦争の弱さでした。
複雑化したシステムにAIが対応できていないのは明白で、あまりに簡単にプレイヤーが勝利できてしまっていたのです。
さすがに今はだいぶ対応できるようになりましたが、戦闘が穴になると他のシステムがうまくできていても、ゲーム全体としては評価が下がってしまいます。
ですからあまり複雑なルーティンを必要としないシステムで、大きな穴を空けないように気をつけてほしい。
とはいえ戦争はストラテジーゲームの華なのも確かですから、そのバランスはなんかうまいことやってほしい。
ランダム性とうまく向き合ってくれ!
『シヴィライゼーション』は元来、ランダム性の低いゲームです。
ゲームスタート時には、マップのランダム生成という超特大のランダムイベントがありますが、それ以降はほとんどランダム要素はありません。
これはストラテジーゲームとしては誠実な姿勢です。
「運」はプレイヤーが制御できないですから。
ゲームに敗北したら、それはプレイヤーの戦略が間違っていたからであり、ダイスの目が悪かったからではない、ということです。
しかしその反面、ゲームの展開がものすごく直線的になりがち。実際の文明史のような、山あり谷ありにならない。
それを打破するために、目玉として導入された「自然災害」も、あくまでプレイヤーが対応可能なイベントに留めようとした結果、十分な効果を発揮しているとは言い難いです。
『Crusader Kings』のように、一夜にして帝国が崩壊するというのは極端にしても、個人的にはもっと思い切ったランダム性が『シヴィライゼーション』には必要かなと思っています。
これに関してはプレイヤーの意見や認識も割れるところかと思いますが、なんかうまいことやってほしい。
終盤は作業になっちゃう問題をなんとかしてくれ!
ゲームが勝ち確になると、終盤は虚無のような作業が続く。
心の振り子は静止し、ただ機械のように決まった動作を繰り返す。
目標をセンターに入れてスイッチ、目標をセンターに入れてスイッチ。
終盤の作業感をどうするかは、『シヴィライゼーション』シリーズの積年の課題です。
近代から現代にかけての時代に用意されている国際連合や、環境問題といったシステムもすごく面白そうなんだけど、あまり機能していません。
そこに至るまでにゲームが決着してるから。
この要因のひとつは、上述したランダム性の乏しさだと思うのですが、そろそろこの問題に対する、ひとつの解答が欲しい。
これはストラテジーゲーム全体の問題でもあるので、簡単ではないと思いますが、なんかうまいことやってほしい。
がんばれCIV、お前がナンバーワンだ。
なんか『6』への愚痴大会みたいになってしまいましたが、私も含めて『シヴィライゼーション』に文句をたれちゃうファンが多いのは、『シヴィライゼーション』こそがストラテジーゲームの王だからなのです。
『HUMANKIND』や『Old World』を持ち上げる方もいますが、設定しているハードルの高さが全然違うはずなんですよね。
だから来るべき『シヴィライゼーション7』に期待を込めて。
がんばれCIV、お前がナンバーワンだ。
グダグダになっちゃった『シヴィライゼーション6』レビューはこちらから。
むだに長いので、気になる方だけどうぞ。