夜空に泳ぐチョコレートグラミー【読書日記】
町田そのこさん、3冊目です。
なんと、この本がデビュー作です。
5編のお話で構成されていて、最初の2つが好きです。
『カメルーンの青い魚』
啓太くんって、子ども?さっちゃんとの関係は?と思いながら、読んでいくと、過去に戻って、最後にそうだったのか〜ってなりました。
好き同士なのに、一緒にいられない、哀しいお話。
それでも、こんなに真っ直ぐ好きだと思えて、好きだと言えるなんてうらやましい、とも思いました。
『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』
「夏休みに入るちょっと前、近松晴子が孵化した。」
なんて素敵な冒頭!
どこの世界にもいる意地悪な子たちが、本当に上手に人の嫌がることを言っていて、ものすごくムカムカしました。私も大人しい子どもだったので、とても人ごとに思えません。
そんな中、「孵化した」晴子ちゃんに啓太くんは、「いつ気づくかなんて、個人差だよ。気づかないままでいることが問題なんだ。だから、晴子が気づいたと思うなら、それでいい」と言います。
大人だわ。
さっちゃんもいいお母さんをしているんだと思うと嬉しいです。
晴子ちゃんの今後を知り、ちょっとケンカしていたお母さんともきちんと話をして、啓太くんは、大人でも苦しんでいるんだから自分が苦しむのも当たり前だ。そういうものだから、仕方ない。これからも、もがきながら泳いでいくしかない。と思うのです。
がんばれ٩( 'ω' )و
そのあと
『波間に浮かぶイエロー』
『溺れるスイミー』
と続き、サキコさんや啓太くんのちょっとした日常が垣間見えます。
そして、『海になる』で、近松晴子ちゃんの行き先がわかります。
まずは、引き取ってくれる桜子さんのお話があって‥‥夫からのDVが辛い……。
そんな中、出会った清音さんに救われて、助産院を開くまでになるんです。
と読み進めると、晴子ちゃんがやって来ます。
そこで明らかになる桜子さんの助産院の名前!
「うみのいりぐち」!
海は世界中に繋がっているから、ここで生まれた子どもたちはあの海のような広い世界に飛び出す稚魚で、ここは海に向かうための入り口。この中は、海に出る準備をするための場所。
こういう思いを持った桜子さんに取り上げられた子どもたちがすくすく育って、時々遊びに来てくれる場所。
ここで晴子ちゃんも、何にでもなれる力を身につけてほしいです。