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Photo by
womino
僕が彼について知っている2、3の事
メンソールからたちのぼる一筋の青白い
煙を眺めながら
どこかの二流の俳優がやるような
髪をかきあげ
左斜め上40゜に 彼女が不審なことをした時の
様な顔を向ける
時
新聞紙のインクのにおいが嫌いだったコーヒーショップのウェイトレス
について
何故いつもオーダーを二度も確認するのか であるとか
5歳の時に行った映画のチケットをいまだに持っている であるとか
祖母の誕生日をいつも決まって二日後に思い出す であるとか
彼女と少しでも話ができるとジャンプして喜び
近所の空き地にいつもの野良猫が顔を出さないと我が子の事のように心配し
「君の性格が原因だ」と言われる度に
手近にあったイスを投げつけ 窓ガラスを壊してしまう
約12時間前に今と同じ場所に座り込んで眺めていた空は無情にも黒く塗りつぶされ代わりに16番街で見かけたブロンド娘の透きとおるようなブルーの瞳が浮かぶであろう次の瞬間に彼は君への想いを告げるすべを考えたのだ。おとといの夜そこの角のお気に入りのレストランで食べたチリソースがあまりにも辛かったので翌日の朝まで喉の奥が痛かったなどとさも楽しそうにストリートミュージシャン達に話すのと同時に。「この詩にタイトルをつけてほしいんだ。僕はそれを宝物にして一生大切にしておくだろう」と言いつつ実はそれが自分のカラーと全くかけはなれていた場合、彼をものの見事に裏切ってやろうと心のどこかで呟いている。
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