
散歩で知った可憐な花の意外な事実
前号の緊急事態宣言下での「歩く」、読んでくださった方々お付き合い頂きありがとうございました。連休中毎日歩いていて、新たな発見もありながら、いわゆる慣れに対する問題も出てきて、ある意味散歩という単調な行為を続けることの難しさを痛感しました。
今朝は車で20分ほど、もう少し緑が多くて起伏の有る場所まで行ってきました。同じ多摩地区には変わりないのですが、緑の濃さや斜面を登るときに感じる足首回りの伸び、そして代えがたいのは「おしり」を使う事で自分の歩くフォームの矯正になることでした。最近「おしり」を使う事で膝への負担が軽減されることに気づき、やはり違った環境で歩くことで学ぶことも沢山あります。
【1】散歩コースの各所に可憐なオレンジ色の花
一時期魚類の中では俗称「ブラックバス」(=オオクチバス)が「特定外来生物」の代名詞的に扱われて、在来種への影響や果ては生態系の保全といった議論にまで発展していました。
連休に入り、春の花もそろそろ一段落という中、散歩コースの各所に可愛いオレンジ色の花を見かけました。植物の知識もあまりない筆者はその花の正体を余り気にすることなく時々写真などを撮りながら、そのままスルーしていました。
ある朝、畑の傍らに群生しているのを見た妻が、その場で検索してみると結構厄介者扱いにされていることに気づき、私達はこの植物が外来種の「ナガミヒナゲシ」であることを初めて知りました。この議論は5年以上前からあって、それだけ私は外の状況に無頓着だったということです。
人間というのは面白いもので、一旦脳の中のスイッチが入ると、インプットされた情報に基づいて思考するもので、それまでの認識以上にこの植物が散歩コースの各所にあることを再認識することになりました。そして、状況次第では厄介な植物にもなり得ることを感じ始めました。
【2】実は外来種で注意すべき特性が
素人ながらに調べると概要として以下のような特徴があることがわかりました。
・ナガミヒナゲシ(学名Papaver dubium:ポピーと同じケシ科)ヒナゲシより子房が細いことが名前の由来のようです。
・原産: ヨーロッパ地中海沿岸、1960年代に日本に来たと言われています。
・強い繁殖力が特徴で、1つのさやから1600粒の種子を、1個体から最大で15万粒の種子を生成するということです。未熟な実から出来た種子でも発芽能力があるそうです。又、コンクリートの隙間からでも発芽をする能力があります。道路沿いに多くみられるのは梅雨期に実が出来て車のタイヤに付着して広がるのが一因とみられています。
専門的な事は国立環境研究所のHPもご覧ください。
【3】放置した場合は・・・毒性は・・・?
それでは、ナガミヒナゲシが他の植物の生育阻害を生む可能性ですが、そのリスクは結構あるようです。下記農業環境技術研究所の記述では雑草化のリスクが大きいとしていますが、その程度については色々な記述を見ると見解に差があります。ただ、そうした「強い影響」という部分がクローズアップされて悪者扱いされている可能性はあります。
ただ、地元を歩いていて、生える場所や生え方を見ていると素人目には「雑草化」しているという印象を強く受けます。他の植物への阻害性=アレロパシーという問題については、私の専門外ですのでこれ以上の言及は控えますが、オレンジ色の綺麗の花を咲かせるため雑草というイメージと結び付きにくいのかもしれませんが、仮に我家に広大な庭があってその一角をこの植物が占拠するという状況は余り好ましくないように思います。
ナガミヒナゲシの毒性については、アルカロイド性の有毒成分が含まれているとのことで、まずは口に入れないように。そして除草する際も素手はやめて手袋をして対応した方がよさそうです。そして、花が咲いてしまってからでは逆にその蔓延を助長することになってしまうため、「ロゼット葉」状態のうちに除草した方がよいようです。要は葉が広がりだした段階で除草するのが一番よいようです。
【4】最後に
道端のあちらこちらで見かけたナガミヒナゲシですが、個人的にはその猛烈な繁殖力と耐性は驚異的に思え、自宅で生え出したら将来確実にご近所様にも迷惑がかかると思います。我が家の場合は即座に除草になると思います。
しかし、頭ごなしに駆除の必要を説くつもりもなく、その生えている規模や状況に応じて判断するので良いかと思います。その特性から自分の本意ではない形で生育する可能性と影響があることだけは頭の片隅に置いておけば。
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