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暁に恋して

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2020年4月の記事一覧

短編小説「暁に恋して」作 清住慎 ~5.~

   5.

 地球上で一番最初に「当番」とか「日直」という制度を考えたのは誰だろう。ついでにそれを男女ペアでやらせようと思いついたのは誰だろう。

 外国では男は幼少時から紳士として教育され、女性に対して常にフェミニズムを発揮すると聞くが、私の今までの人生の中で、この国の若い男が紳士たりえたというようなことを見たり聞いたりしたことがない。

 男の子はたいてい、「掃除とか面倒臭えことは女がやるも

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短編小説「暁に恋して」作 清住慎 ~4.~

  4.

 私はつくづく卑怯な人間だ。

 まだ彼に傘を返していない。あのときどんなにありがたく思ったか、一緒に傘の下にいたあの時間がどれだけ楽しかったか、まだ彼に伝えていない。

 それは恥ずかしいからではない。

 クラス中から半ば村八分にされている彼に話しかけることで、みんなの自分に対するイメージが悪くなることを、みんなから彼と同じような扱いを受けることを恐れているからだ。

 だから二人

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短編小説「暁に恋して」作 清住慎 ~3.~

3.

 キーを差し込んで部屋に入ると、薄暗く冷え冷えとした空気が私を迎えてくれた。この家が家族で埋まるのは、深夜から朝にかけてのわずかな間だけだ。普段ほとんど人のいないこの広すぎる空間を、私は時折もったいないと思う。

 鞄を置いて制服を脱ぎ、そのままベッドに倒れ込むと自然と溜息が漏れた。誰の視線もない一人きりの場所で、私は少しホッとする。大の字になった四肢の先端までが徐々にリラックスしていくの

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短編小説「暁に恋して」作 清住慎 ~2.~

2.

 学校はいつだって恋愛とエッチの話題でいっぱいだ。教科書は本能を理性で抑制するよう要求するが、そんなことに一体どれほどの効果があるというのだろう。

 自分の身体が大人の性に目覚めれば、当然異性のそれにも興味が向く。それが恋愛感情に変わることもあれば、そうでないこともあるけれど、自分の身体の変化と共に発生する感情を抑えられるわけがないと思う。

 抑えられずに溢れ出し、右往左往することが私

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