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花の意のまま種をまく
読書
私の自由研究
ここ数年、ヒルガオやパイナップルやクロッカスの種まきを試みている。
今の所成功したのはクロッカスだけだが。
あ、道で拾ったマルバアサガオの種が忘れたころに花を咲かせたのも。
さてそこで
私はどうして種をまきたくなるのだろか。
結実が珍しいとか、発芽が珍しいとか
もちろん、花がきれいだとか色が珍しいとかもあるし
実用的には自然薯のムカゴのように食べられるというのも。
そもそも
花は虫を引き寄せるためにいい匂い(虫にとって)を放ったり
虫が見つけやすい色の花を咲かせたり美味しい蜜まで用意する。
何もしないでただひっついて運ばれようという「タダ乗り」もいるが。
植物はそうやって虫や鳥や動物たちを種の移動に利用するわけだが
最近人間も利用されているのではと思い始めた。
人間も花や香りや味に引き寄せられて
人間が好む植物を移動・拡散・繁殖させたくなっているではないか。
まあ、人間はどこまでも自分の都合で「改造」してしまって
植物を家畜化して自立できなくさせてもいるが。
そんな高度な改造ができるワケもない自分でも
「できたらきれいな濃いピンクのヒルガオを自分の庭に咲かせたい」
から始まって
「結実が珍しいヒルガオの種を発芽させたい」
「珍しい白いマルバアサガオを自分の庭に咲かせたい」
とジタバタして色々調べたり考えたりしているのだが
最近何かこう、植物に操られているのではと疑い始めているのでござる。
前振りが長くなったが
そういう中で思い出したのが知る人ぞ知る傑作SF
「メタモルフォセス群島」筒井康隆 著 新潮社
これを読んだのがもうずいぶん昔のことだったので題名が思い出せなくて2週間ほど検索を繰り返してジタバタした。なにしろ筒井康隆の作品は手当たり次第片っ端から読んでいたから。さて作者が言うにこの作品は海外のある小説から着想を得たのだと。
その海外の作品というのが
「みどりの想い」ジョン・コリア― 著 創元推理文庫
珍しいランを手に入れたと思ったらそれがその植物が食べた生き物の頭そっくりの花を咲かせるという「怪奇小説」である。この話自体もナカナカ凄いのだが筒井康隆の「メタモルフォセス群島」の方が数段濃くてモノ凄い作品だと思っているのでぜひ読んで欲しいと思う次第であっていやもうナニがモノ凄いってずうっとドタバタのギャグが続くかと思わせていきなり心に深く背負い投げを食らわせてくるという要するにずっとニヤニヤしたり吹き出したりしながら読んでいたのにあるところから真顔になってそれからなんとも切なくなってしまうのだがそれだけにとどまらず中身の学問的濃さがまたさすが「私説博物誌」を書いた人だけあると思うのでありましてそうだ「みどりの想い」自体はこの「私設博物誌」で紹介されていた本でそれでうっかり買ってしまったのだがこの作品から「メタモルフォセス群島」を生み出す才能と言うか要するに筒井康隆はもの凄いとしか言えないワケであっ-
そしてまた気づいてしまった。
私はどうしてもこの筒井康隆が「みどりの想い」から紡ぎ出したこの作品名が知りたくて先ほどようやくネットの海から拾い出して「そうそうそうそうそう」コレだでコレと小躍りしてわかったからには改めて読まねばnoteに書けないと電子書籍で購入してしまったのである。植物以外にもナニかが本を買うように私を操っているとしか思えないのだがそれは一体なんだろか。