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同通しながら観察モード

一昨日の5月23日月曜日。某テレビ局にて日米首脳会談合同記者会見の
同時通訳業務をさせて頂きました。

テレビ局で同時通訳をするのは、レギュラーで入っているCNNを
除けば久しぶりです。重要な行事、たとえばアメリカの大統領選挙や
要人の発言などがあると、民放でも通訳者が必要になるのですね。

今回の記者会見は事前に開始時間が決まっていました。
大統領選挙の結果待ちの場合は長時間待つことになりますが、
今回の待機時間は少ないものでした。
局入りは午後でしたので、あらかじめ昼食時間を決めたり
(私の場合、本番直前に食べると頭がぼーっとするため、
1時間前には食べ終わりたく、逆算してとっています)、
どういうルートで現地入りするかなど決めることができました。

このような通訳業務の場合、たいていは2名体制です。
パートナー通訳者と数分ずつで交代しながらひたすら同通をしていきます。
一方、本番までの間は、目の前のテレビモニターに中継で
会場が映し出されており、それを見ながら待つことになります。
大勢の記者団が着席しており、マイクチェックをしている様子や
SPの姿なども見えます。ヘッドホンからは現地会場の
ざわざわ音も聞こえてきます。

いよいよ始まるころになると、SPの動きが慌ただしくなります。
そして司会者の発声とともに両首脳が入場。会見開始です。

それまで無言で控えていた私も、いざバイデン大統領が話し始めれば
集中力MAXで同時通訳となります。車で言うなら、エンジンオフの
状態から一気にトップギアに入れる感じ。「着席仕事にして
終わるころにはヘトヘト」というのがこの仕事の特徴です。

今回、大統領の発言ももちろん集中して聞いていたのですが、
ふと注目したのが岸田総理とバイデン大統領のネクタイの色および柄。
ほぼ同じ色のストライプでした。ただ、ストライプの斜線の向きが
対称的だったのが興味深かったですね。

夕方にはIPEF発足式典の同時通訳もあったのですが、本番中、
私の目の前のモニターに映し出されたのは、なぜか
大統領の横顔アップや大統領の手元メモの大写し。
果たしてこれが動画サイトやケーブルテレビでどのように
放映されていたかはわからないのですが、私などつい
「え?大統領のメモ、こんなにアップで映して良いの?
機密情報が書いてあるかもしれないのに」とひやひや
してしまいました。

と同時に、

「バイデン大統領の筆記体って美しい!やはり
『手書き世代』なのかなあ」

とも思ったのですね。途中でのど飴を食べる様子や、卓上に
トールサイズの紙コップ(おそらくコーヒー?)が
置いてあるあたり、なぜかとても親近感を抱いたのでした。

同時通訳に加えて、こうした「周辺情報」まで仕入れた
からでしょう。同通終了時には脳みそがパンク寸前でした・・・!

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