『現代哲学の論点』を読むためのメモ(第二章 人はなぜルールに従うのか)

p.48
サンデル『リベラリズムと正義の限界』(1982,98) … ロールズ批判の重要な場面でヒュームの議論を参照している
サンデル『正義』(邦訳『これからの正義の話をしよう』,2010) … 同上
p.50
カント『実践理性批判』(1788) … 純粋な定言命法の可能性を追求
p.51
カント「世界市民的見地から見た普遍史の構想」(1784) … 慣習的に形成されたルールが次第に洗練され、人類共通の普遍的な性格なものになっていく、という進化論的な議論
p.52 
ヘーゲル『法哲学要綱』(1821) … 道徳・法規範の進化論
ハイエク『感覚秩序』(1952) … 物理的な環境の中で人間の心がどのように構成されるか認知科学的な考察を加えている
p.53
仲正『現代哲学の最前線』第四章 … 要参照
ハイエク『法と立法と自由』(1973,76,79) … 「心」の進化がどのようにして「ルール」の進化と連動し、やがて市場や法秩序のようなものを生み出していったか、マンデヴィル、ヒューム、アダム・スミスの論説を参照しながら体系的に論じている
p.54
ハイエク『隷従への道』(1944) … ナチズムや社会主義とともに、ケインズ主義や功利主義を徹底批判する
ハイエク『自由の条件』(1960) … 同上
p.56
仲正『新装版 いまこそハイエクに学べ』 … 「ルール」進化論については本書を参照
ハーバマス『コミュニケイション的行為の理論』 … 近代化を宗教的な信念、聖なるものをめぐる記号の体系によって結びついた共同体から、コミュニケーション的行為による相互理解によって結びついた社会への移行のメカニズムとして明らかにする試み
ウィトゲンシュタイン『哲学探究』(1953) … 「ルールに従っていると思うことと、ルールに(実際に)従っていることは同じではない。だから我々はルールに私的に従うことはできない」という命題を提起
p.59
ハーバマス『討議倫理のための注釈』(邦訳『討議倫理』1991) … 心理学における道徳性発達理論の成果やアメリカでのリベラル/コミュニタリアン論争も参照しながら、討議を通して人間の道徳的判断力が次第にローカルな性格を脱して普遍的なものになっていくことを示唆している
デリダ『有限責任会社』(1988) … 言語行為の主体による新しい関係性・規範の創造に見えるものは、実は、主体の内にすでにインプットされ、フォーマット化された慣習的な言葉遣いを多少のバリエーションを伴って「反復」しているだけで、真に新しいものは生み出されてはいないのではないか、と示唆している
p.60
仲正『ポストモダン・ニヒリズム』(作品社) … 要参照
p.61
ロバート・ブランダム『それを明示的にする Making It Explicit』(1994) [原書のみ] … 「規範」を、人間の行動を現実に規制する不可視の力のようなものではなく、人間の行動や人間に関わる出来事を説明する言説において、一定の役割を担った「語彙」の問題として考える。「規範的語用論 normative pragmatics」を提唱
p.63
「カントからヘーゲルへ︰ロバート・ブランダムのプラグマティズム的言語語用論」[『真理と正当性』(1999)所収] … ブランダムの語用論だと、各当事者が自らの行為や言明に道徳的にコミットしているのか、単にその時々の都合でそうしているだけなのかを判別する基準が各スコア記録者にないことを問題として指摘している
p.64
ジョセフ・ヒース『ルールに従う』(2008) … 「ルールに従う」ことを進化論的に基礎づけている。「規範同調性 norm conformity」に焦点
p.65
トマセロ『道徳の自然誌』(2016) … 初期のヒトの間に生じた、狩猟などの際に特定のパートナーと協同しようとする傾向が基盤となって、集団の「規範」に同調して生きようとする現生のヒトの属性が発達したことを指摘
トマセロ『人間になる』(2019) [原書のみ] … 同上


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