ただの”感動作”ではない 映画『フィーリング・スルー』の本当の凄さ
つい先日SAMANSAで公開されたショート映画『フィーリング・スルー』。
世界中で数々の賞を受賞し、
アカデミー賞にもノミネートされたこちらの作品は、
実際に盲ろう者の俳優を起用したことでも大きな話題を呼びました。
そしてついに、この映画の舞台裏に迫ったメイキング映像の日本語字幕が
公開されました!
盲ろう者にとってどのように世界が見えているのか、
彼らとどのようにコミュニケーションをとるのか、
そして、映画完成に至るまでの道のりや、この映画のモデルとなった実際の人物と監督との出会いなどについてより詳しく描かれていますので、
ぜひこちらもご覧ください!
知られざる撮影の舞台裏
盲ろう者の方が俳優として映画に出演するのは、
この作品がなんと、映画史として初めてのこと。
オーディションを経てキャスティングされたのは、
自身も盲ろう者であるロバート・タランゴさんです。
彼は、米国立ヘレン・ケラー・センターでキッチンの仕事をしていました。
もともと聴覚障がいを持っていたものの視力はあり、映画俳優を目指していたというロバートさん。
しかし、30歳になった頃に視力を失い始め、その夢を諦めるようになったといいます。
見事オーディションに選ばれたロバートさんは、触覚手話という方法を用いてコミュニケーションを取りながら、
共演したスティーブン・プレスコッドさんやスタッフたちとリハーサルを重ね、撮影に挑みました。
劇中で登場していた、手に文字を書いて話す方法や肩を叩いたりする仕草は、このようなコミュニケーション方法から来ているものだったんですね。
撮影は極寒の冬の夜の中で行われたそうですが、
特殊なライトなどを用いながら、ロバートさんはじめ、キャスト、通訳の方々、制作スタッフ一丸となり、無事に完成させることができたそうです。
実際の撮影風景をもっと詳しく知りたい方は、ぜひメイキング映像の方も見てみてくださいね☺︎
”誰であるか”は関係ない
盲ろう者を俳優として出演させること。
それは、映像と音声が重要な要素でもある映画で
成し遂げられたというだけではなく、
映画界で前例のない取り組みであったという点においても、
大変な偉業であったと言えます。
しかしそれ以上に、障がいを持った人々を同じ1人の人間として、
ともに1つのものを作り上げた事こそが、
この映画の本当に素晴らしい点であると言えるのではないでしょうか。
「感動ポルノ」という言葉があるそうです。
これは、”健常者”が”障がい者”を自分の感動の対象としてモノ扱いするという意味を持っています。(ステラ・ヤング TEDx Sydney 2014)
これまでも、盲ろう者をテーマとした映像作品やドキュメンタリーなどが
作られてきました。
もちろんすべての映画がそうであるとは言い切れませんが、
私たちは少なからず、彼らを少し特別な存在として
また、「勇気をもらえるもの」として見てきてしまった部分もあるのではないでしょうか。
つい最近では、MCUシリーズの映画『エターナルズ』に聴覚障がいを持ったヒーローが登場し、大きな話題を呼びましたね!
実際に手話を使って人々を救うヒーローの姿は多く人々に影響力を与え、
なんと、手話の学び方に関するキーワードの検索数が250%も増加したそうです。(FRONTROW 2021)
ぜひこうした動きを一種のブームで終わらせず、
そして、ただ”素晴らしい取り組み”として終わってしまわないよう、
障がいを持った方が映画に出演するという事がどんな意味を持つのか、
一緒に考えていきたいですね…!
『フィーリング・スルー』はSAMANSAで視聴可能です。
ぜひご覧ください!
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