日蝕
フランスの神学僧が「ヘルメス選集」の完本を求め、イタリアに向かう途中、リヨンで錬金術師のピエェルにあう。
ピエェルは『賢者の石』の製作に打ち込んでいた。
村は奇病と冷害と豪雨に悩まされ、魔女のせいだと思い込む。
森の奥の洞窟にいた「両性具有者」が魔女として捕えられ、火炙りにされる。
張付にされ火を放たれると皆既日食が始まる。
両性具有者は、炎の中で巨人と神秘的な合体をする。
炎が消えた後、灰の中からピエェルが、金塊のようなものを拾い上げた。
ピエェルは灰の中から拾った罪で、異端審問会のジャックに捉えられる。
それから30年後、異端審議会のジャックはやつれ果てていた。
ピエェルを密告したのは鍛冶屋のキョオムと知り驚く。
かって火炙りにされた両性具有者は『イエス・キリスト』の再臨であったのでは? との語りで終わる。
平野敬一郎の【私とは何か―「個人」から「分人」へ】の中に、「日蝕」への考え方、取り組み方などが載っていて、興味を持って読んだ。
「日蝕」は見慣れない漢字がいっぱいあって、調べながら苦労して読んだが、読み終わっての感想は面白かった。