東京都台東区「焼け残った電柱」
東京都台東区、都営大江戸線の新御徒町駅から徒歩わずかの距離に、東京大空襲をで被害を受けつつも焼け残った電柱がひっそりと残っている。
東京大空襲は太平洋戦争末期にアメリカ軍により行われた、東京都区部に対する焼夷弾を用いた大規模な戦略爆撃の総称で、日本各地に対する日本本土空襲、アメリカ軍による広島・長崎に対する原爆投下、沖縄戦と並んで、東京の都市部を標的とした無差別爆撃によって、民間人に大きな被害を与えた。東京は1944年後半からおよそ106回の爆撃を受けている。
その多数の爆撃の中で1945年3月10日、4月13日、4月15日、5月24日、5月25日〜26日の爆撃は大規模なもので、特に3月10日の爆撃では100万人以上の被害者がでたとされる。
主なターゲットは当時の航空会社「三菱重工」と「中島飛行機」であったとされるが、全国の各都市にも爆撃が行われ、非常に多くの民間人が被害を受けた。
電柱を保存することで、そのような恐ろしい出来事による被害の歴史を後世に残し、二度と繰り返さないためのモニュメントとしている。
焼け残った電柱を訪ねる。
今回は、その痛々しい電信柱を訪ねることにした。
JR御徒町駅より、都営大江戸線の新御徒町駅方面へ向かって徒歩およそ10分ほど。下町の気配が漂う静かな住宅地の中にその電信柱はあった。
真っ黒に焼けた様な不可思議な棒状のものがマンションの敷地内に不自然にそびえている。枯れ木の様な様子で、知らなければ見逃してしまうかもしれない。
現在残るものは陶器製のレプリカで、本物は異なる場所に保管してあるそうだが、近寄ってみてもわからないほどに精巧に作られており、被害の様子を知るには十分であると思う。
穏やかな住宅地の中で黒々としたものがそびえ立ち、ある種異様な気配を放ってはいるが、暗い時代をかろうじて生き残った傷だらけの電柱は、未来に対する平和のための宣言として今後も残っていって欲しい。
下町らしい(?)地域の人々に大切にされている様子の小さな稲荷神社。都心では見かけることの減った猫も電柱のほうを眺めていた。
〒111-0055 東京都台東区三筋1-13-12
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