上座はどこ?!ー右上位と左上位ー
今日はざっくりと右上位と左上位の考え方の違いをお伝えしたいと思います。
上座が洋式と和式で異なる理由はズバリ、ただ一重にこれが原因なのですが、これを理解せずにただ左右で覚えるというのは難しいと思います。
パーティーなどの席次はもちろん、ビジネスシーンでも必要不可欠な知識のひとつが「上座」だと思いますので、少し押さえておくと今後、多方面で役立つかもしれません
右上位
まずはグローバルスタンダードの「右上位」から。
基本的に西欧の文化では右を上位とみなします。
これはキリスト教に起因しておりまして、聖書に以下のような文言があります。
”Qui sedes ad dexteram Patris" (父の右に座す者)
そう、主なるイエスは全能の父なる神の右に座す、のです。
ゆえに右が上位、上座なのです。
西洋のテーブルマナーなどの一つに、座席には左側から出入りする、というルールがあるのはこのためです。
また、最近ではかなり薄らいでいる印象ですが、以前はサービスの行き届いたレストランではお食事のお皿はお客様の左側からお出しするものでした。
右側が上座になるので、右を安易に侵さない、という考え方なのです。
また、英語で右のことを正しいと同じ綴りのrightと書きますが、これもこうした思想から派生しています。
面白いことに、英語で質問された内容があっていれば、私たちは「right(そうです)」と答えます。
左上位
では、明治以前まで少なくとも日本では一般的だった左上位の考え方はどこから来るのかというと、中国の『淮南子(えなんじ)』という書物に由来します。
私も原典を読んでいないので恐縮ですが、そこには
「天子南面」(君主は南を向く)
という言葉があります。
そう、君主たるもの南を向いているので背後は北、そして太陽が昇る東側(北を背にし、南に顔を向けていると東は左)が上位と考えるのです。
日本では明治維新以降に西欧の文化が流入し、大正天皇が右上位に倣って貞明皇后と写真に納まり、それが新聞などで広く庶民の目に触れるようになって「右上位」もどんどん当たり前のようになってきましたが、それまでは左上位でした。
この文化を色濃く残しているのが京雛と関東雛の飾り方です。
そうです。関西と関東ではお内裏様とお雛様の飾り方が逆なのです。
京の都では伝統の左上位をしっかり受け継ぎ続けていましたが、東京では大正天皇のこうした振舞いに倣い、右上位で飾るようになったのです。
私の母は横浜育ちの関東人ですが、父は大阪育ちの関西人。
母はよく関西で飾られているお雛様を見ては「あらやだ、これお内裏様が逆だわ、間違えて飾っているのね」と口にしており、以前は私もこうしたことに疎かったのでうっかり鵜呑みにしておりましたが、間違えているのではなく、関西は左上位で飾る、関東は右上位で飾る、という文化の違いなのです。
どちらも間違いではありません。
そして、日本語では誰かに質問された内容が合っていれば「左様でございます」と答えるのです。
欧米との文化の違いが答え方にも反映されていますね。
席次にも影響する右上位と左上位の考え方
繰り返しになりますが、「右上位」という考え方と「左上位」という考え方があり、どちらもそれ相応の理由があり、どちらが良い悪いでもなんでもないのです。
ただ、歴史上の文化的背景からその二つの考え方が成り立っているのです。
それを理解した上で、西洋スタイルの食事会では「右上位」を、和室の食事会では「左上位」を心掛けて配席するのが望ましいのです。
今回は席次の細かいルールや考え方には触れませんが、それらもいずれまた。
一先ずはこれらの考え方があるんだなぁ~
という事実だけを理解していただけましたらとても嬉しいです。
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