儚き時間を旅する
ここ数年
気になった
古い建物や
懐かしい
昭和感溢れるスペースに
思い立ったらすぐに
足を運んでいるの
遠い昔に
ずっと気になっていた
お店があったのだけれど
そのお店は
70代くらいの男性が
小さなプレハブスペースで
帽子やバッグなどを
ミシンで作られていたの
通りかかった瞬間から
心惹かれていて
当時まだ
インターネットなどがなかったので
頑張って色々と調べてみると
自分の気に入った生地を持ってゆくと
帽子やバッグを作ってくれると知って
いつか
私も作ってもらいたいなって
思っていたの
それから
日々の忙しさもあって
そのお店の事も
忘れていたの
そんなある日
ふっと
そのお店のことを思い出し
インターネットで
調べていたところ
その方が
数日前に
魂の故郷に旅立った事を知り
とっても残念で残念で
今でもずっと
心に残っているの
今思えば
オーダー費用も
とてもリーズナブルな価格で
カジュアルなコース料理と
同じくらいの価格だったのだから
ほんの少し頑張れば
若いころの私でも
すぐにお願いできていたのに・・・
そんな思いもあって
それ以来
年月を重ねた場所や人で
心惹かれた時には
躊躇することなく
すぐに足を運ぶようにしているの
この間も
とても心惹かれていた
小樽の大正時代から続いている
お餅やおはぎを
販売しているお店があって
迷うことなく
すぐに足を運んだの
それから数か月後
ご主人が魂の故郷に旅立ち
閉店されたようだったの
日本には
ずっと大事に続いてきた
手仕事があるけれど
経済と重ねると
一代だけで終える覚悟で
時を刻んでいるお店が
たくさんあると思うの
新しいものは
毎日生まれているけれど
時を刻んできたものは
儚く
とても尊いものだと思うの
もちろん
今という時代にフィットした
華やかで
心躍るヴィジュアルも
楽しいのだけれど
今
私はこれから
もしかしたら
味わう事のできなくなるかもしれない
時を重ねた
人たちが守り続けている
空間などに
足を運んでみたいなって
思っているの
今の時代を生きる世代にとっては
昭和的なものは
異次元体験のような感覚で
楽しまれていると思うのだけれど
私にとっては
とても懐かしく
タイムマシンで
過去を旅する感覚なの
時代の速度は早く
新たなものが
次々と
押し寄せてくるけれど
いつまでも変わらないものを
見つけるたびに
ホッとしちゃうの
今日も昭和感満載の喫茶店で
コーヒーを飲みに行こーっと