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【実録】組織の活性化を成功させたいと焦ったチームディレクターのリアルな失敗談

皆さん、こんにちは。
IS factory note編集部の山口です。

組織を良くするために新しい施策を試したり、メンバーとのコミュニケーションを工夫したりと、日々試行錯誤している管理者は多いのではないでしょうか。

しかし、どれだけ頑張っても組織が思うようにまとまらず、結果的に空回りしてしまうケースもあるかと思います。実は私も同じように悩んできた内のひとりです。

そんな私がインサイドセールス組織を活性化させるために【やったこと】ではなく【やめたこと】を紹介し、失敗から学んだ教訓を皆さんにお伝えできればと思います。

これから管理職を経験される方や、組織に課題を感じている方はぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。


透明人間の私に課された『ディレクター』という名の"呪縛"

私は昔から人前に立つのが苦手で、誰かに指導するよりも与えられた仕事を続ける受け身な人間でした。組織に属せば自分から発言することはなく、マイナスにもプラスにもならない透明人間のような存在だったと思います。

そんな私ですが、この会社にはインサイドセールスの立ち上げメンバーの一人として中途入社しました。当初はメンバーが3名ほどで、完全に「古参」状態だった私。案件が増えるにつれてメンバーも増員し、後輩も多くなり、気づけばディレクターという立ち位置に変わっていました。

とはいえ、自分のスキルを評価されてディレクターを任されたわけではなく、たまたま私の入社が早くて年功序列で管理者を任せざるを得なかったのだろうと思っていた私は、「本当に私なんかでいいのだろうか…」とモヤモヤした気持ちでいました。

そんな葛藤を一人で抱えていた私は、ディレクターという責任感からか「何か組織のために動かなければ」と考え始めたのです。


組織を活性化させるためにやめたこと

試行錯誤の中で、各チームのディレクターとも話し合いをし、いくつかの施策を実行しました。しかし、それが期待した結果を生まなかったことも多々あります。以下に具体例を紹介します。

①チャットボットの導入

目的:メンバーが気軽に自己開示できる場をつくり、個々の考えや気持ちを共有しやすくするため。
内容:「ここ最近で楽しかった出来事は?」「休みの日は何して過ごしてる?」などの質問を投げかけるチャットボットを導入。週に一度、メンバーが簡単に回答できる仕組みをつくった。
結果: botへの回答が義務的になってしまい、日を追うごとに回答するメンバーが減ってしまった。

はじめのうちは率先して回答していた私も、次第にに自己開示することを忘れて回答することが”義務”に変わり、週に一度の質問が億劫に…。

このことから『長期的な施策はマンネリ化する』ということが分かりました。

また、施策を続けるためには定期的に振り返り、「何のためにこの施策をしているのか」をメンバーに伝え続ける必要があると考えました。当時の私はそれに気づくことができず、メンバーの負担になることを考えてチャットボットは撤廃。

導入は失敗に終わりましたが、あの時に再度目的をすり合わせておけば続けられていたのかもしれませんし、『新入社員が入ってきたときは自己紹介も兼ねて1か月限定で実施する』などして短期的施策にシフトするのも良かったなと反省しております。


②部活動の発足

目的:チーム内外で気軽にコミュニケーションを取れる場をつくること。
内容:有志で参加できる部活動をいくつか立ち上げ、(映画部・ゲーム部・レシピ共有部・ママ部)部活動を通じて仕事以外の話題につながる機会を増やした。
結果:部活動を積極的に動かすのは一部のメンバーに限られ、発信する人、盛り上げる人が固定化してしまった。最初は活発だった活動も次第に停滞。いつの間にか部活動自体が自然消滅してしまった部もありました。

このことから、全員に広がる仕組みをつくるのはハードルが高く、続けるためには定期的なサポートや目的の再認識が必要不可欠だと感じました。

また、普段はメンバーが各プロジェクトにアサインし、業務に集中しているため、仕事外の話をする時間を優先的に取れなかったのも事実です。


③シャッフル1on1の実施

目的:部活動と同様、チーム関係なくメンバーとのコミュニケーションを増やすこと。
内容:月に一度ランダムでメンバーと1対1で話す場を設定。「キャリア」や「マイブーム」「ルーティーン」や「話題のニュース」など、お題を選んで話す。
結果:実施日は毎月決まっていたものの、参加メンバーが固定化されてしまい、結果的に1on1の意義が薄れしまった。

1on1のお題リスト。ここから選んでも自由にお題を決めてもOK。

1on1をはじめる前も3~4人のグループでブレイクアウトルームを実施していましたが、発言する人が偏ってしまいました。1対1のほうが話しやすいのではないかということで切り替えたのですが、結果的にグループで行っていたよりも参加者が減ってしまい、1on1の方向性を見直すことに。

私も参加者の立場になって考えてみたのですが、信頼関係が築けていない状態で1対1で話すのは何を話せばいいのかも分からないし、正直しんどいなと感じました。

話すことが特になかったり、1on1を負担に感じるメンバーがいることが分かったので「話したい人がいる場合はディレクターに伝えて時間をもらう」という任意参加の形式に切り替えました。

強制から任意に切り替えることで負担を減らせた一方、話したいけれど自分から声をかけるのが苦手なメンバーにとっては話しづらい場になってしまった可能性もあるなと思っています。任意にしても、ディレクター側から定期的に声をかけて話しやすいきっかけを作るのも大事だと感じました。


④毎日の昼礼

目的:リモートワークで顔を合わせる機会が少ないため、顔を見て話せる場をつくる。また、昼礼を通じて午後の仕事への気持ちを切り替えるため。
内容:毎日お昼に5~10分ほどの短いミーティングを行い、周知事項やナレッジ共有を行う。
結果:次第に参加者が減少。「昼礼は参加しなくてもいい」という空気が広がり、毎日続けることで内容もマンネリ化。昼礼が「形式的な時間」となり、司会者がただ進行するだけの場になってしまった。

施策が形骸化しないためには、内容や頻度の見直しが重要だと考え、昼礼の方向性をディレクターと話し合いました。そして全体での昼礼は週に2回に変更。代わりに各チームの朝礼は毎日行う形にシフトしました。

全体で話す時間ももちろん大切ですが、業務を円滑に進めるためにはチーム内のコミュニケーションが必要不可欠です。時間を有効活用するには全体で形式的な話をするよりも、個々で抱える課題をチーム内で共有するほうがいいのではという結論になり、目標意識を高めるチーム内での朝礼に変更しました。


失敗から学んだ「発見」と「教訓」

振り返ると、どの施策も簡単に浸透するものではありませんでした。施策を実施する中で、多くの「発見」「教訓」を得たので、ここでは私が失敗から学んできたことをお伝えしていきます。

本音はみんな「めんどくさい」

新しい取り組みやルールは、どれほど意義があっても、最初は「面倒だな」と思われるのが現実です。部活動やチャットボットの導入も、当初は盛り上がっていても徐々に義務感や負担に変わっていきました。

これは決して「やる気がない」というわけではなく、日々の業務で忙しいなか、余計な負担を感じてしまうのは自然なことです。つまり、「負担をどう軽減するか」が重要だと学びました。

例えば、負担を減らすために施策の頻度や形式を見直したり、「やるべきこと」ではなく「やってみたくなること」を意識して設計すべきだと気づきました。

信頼関係がないと発言するのは難しい

どんなにオープンな場を作っても、メンバー同士や管理者との間に信頼関係がないと発言は生まれません。1on1でも「何を話していいか分からない」「発言して批判されるのが怖い」といった気持ちを抱えるメンバーも少なからずいるはずです。

信頼関係を築くためには、「小さな対話を積み重ねること」だと思います。日常的な雑談や軽い声掛けをして、メンバーと距離を縮めたり、まずは自分から自己開示することも必要です。私もまだまだメンバーとの対話は足りていないので、普段のコミュニケーションから意識していこうと思います。

信頼は、一朝一夕で築けるものではありませんが、信頼がなければどんな施策も効果を発揮しないことを痛感しました。

目的を定期的にすり合わせることが必要

施策を導入しても、目的がメンバーに共有されていない、あるいは時間が経つにつれて形骸化していくと、最初は効果的だった取り組みも次第に意味を失っていきます。

チャットボットも、当初は自己開示を促すことが目的でしたが、いつの間にか「botへの回答」が義務になっていました。こうした失敗から、「施策の目的を定期的に振り返り、メンバーとすり合わせること」が必要だと学びました。

施策を導入した際には、なぜこれをやるのかを明確にしてチームに共有し、定期的に「この取り組みは今も目的に合っているのか」をチーム全体で見直すことが大切です。また、必要に応じて柔軟な変更撤廃も視野に入れておこうと思いました。


施策をやること自体が目的になってはいけない

施策を続ける中で、導入する側として「この施策を成功させなければ」という焦りが生まれ、いつの間にか施策をやり続けること自体が目的となってしまうこともありました。

しかし、どれだけ手間をかけて準備した施策であっても、メンバーの負担になったり、本来の意味を果たしていなければ意味がありません。「施策を導入することは手段に過ぎない」ということを肝に銘じておこうと思います。


メンバーに伝えたい、管理者の想い

今回、組織を活性化させるために様々な取組みをディレクターたちと相談しながら試しましたが、どの施策にも限界があり、メンバーにも負担をかけてしまった部分があると感じています。

正直なところ、施策に対して「めんどくさい」と感じる気持ちや「こんなことをやらなくてもいいのでは」と思う気持ちは、私自身も理解できます。日々の業務をこなすのも大変な中で、さらに新しい取り組みを追加されるのは"つらい"と感じることもあるでしょう。

でも、どうか忘れないでほしいのは「組織をもっと良くしたい」と本気で考えている人たちがいるということです。私たち管理者も、試行錯誤しながら日々施策を考えています。上手くいかないことも多く、迷いながら進んでいる毎日です。

ですが、私たちが目指しているのは「リモートでもメンバーが活き活きと就業できる環境をつくること」です。

組織を良くするためには、管理者だけでは成り立ちません。それは正社員であれ、パートであれ、アルバイトでも日々仕事に向き合うメンバー全員の力が欠かせないのです。一緒に協力し合いながら、どうすればもっと良いチームになれるのかを考えていければと思います。

私たちディレクターも、メンバーにとって負担にならないよう施策を柔軟に見直しながら進めていきます。そして、皆さんが感じていること、考えていることをもっと聞きたいです。そのためにも、気軽に発言できる場や話しやすい環境を整えていきたいと思っています。

組織は「人」がつくるものです。だからこそ、一緒に力を合わせて、もっと良いチームを目指していきましょう。

この記事が、私と同じ管理者の方や、メンバーとして組織に参加している皆さんのヒントになれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。