虎に翼58話(重遠の孫)
浦野「家で引き取った?バカかお前は?」
小橋「何で自分からドンドン問題を抱えこむかねぇ
現実問題 ひとりの人間に出来る事なんて 限界があるんだよ」
寅子「現実ばかり見てしまって子どもたち救えないでしょ」
多岐川「根っこの考えが違う。昼間、君の家にはご婦人しか居ない。
自分の身だけで収まらん善意は 身内がしんどいだけ..
ただ、理想のために もがく人間に口だけ出すのも、軽率だと...」
道男「心配しないくても、もう悪さをしねえよ。
オレ、婆ちゃんの財布盗んで逃げようとしたんだ」
はる「我が家にはお金なんて有りませんよ。端金 盗んで逃げるより、この家の手伝いをして、三食食べて、あったかいお布団で寝る方が、お得じゃありませんか?
道男「たしかに そうだよな。この婆ちゃんアタマいいよ」
直明「君の話は上野でよく耳にしてたよ。
ボクが関わっている子供たちは 誰も君を悪く言わない。
道男はそうやって 小さい子や女の子を守っていたんだよね。ボクから話すよ、助けになりたいんだ」
道男「いい奴なら助けてやるって、じゃあ悪い奴は助けないってこと?
アンタそうやって
自分がいい事したって、
気持ちが良くなりたいだけ..
別に追い出してくれて良いさ」
道男「家族が心配か?」
寅子「家族も、道男もね」
直明「道男の言う通りだ。ごめん」
道男「どいつもこいつもいい人ぶりやがって」
道男「なんだよ、説教か」
はる「慣れてないのよね、誰かに心配されることに」
直明「お姉ちゃんごめん」
寅子「悪くないよ、直明も道男も」
直人「これお父さんの服でしょ
ボクが着たかった」
花江「大きくなったら...」
直人「見んなよ」
直治「帰って来たら、早くアイツどっか行って貰ってよ」
花江「道男くんがお手伝いしてくれるから、お母さんいろいろ助かって いるのよ」
花江「あらっ似合ってるじゃない。
実際に着ている姿を見たら、ちょっと直道さんの事を思い出してしまって。
ホントはねー、ずーっと考えてるの、直道さんがそばに居てくれたらって。
泣いてた事はあの子たちには内緒ね」
道男「オレ、なれないかなー その人の代わりに...だからオレ...オレ..」
花江「ごはんにしようか」
道男「たのむって...花江ちゃん..」
直人「何してんだよ、謝れ」
花江「やめて、やめなさい」
はる「道男 あなた‼︎」
道男「なんだよ
結局そんな目で見てくんのかよ」
はる「寅子ごめんなさい、
花江さんも...
私が道男を泊めると言ったせいで」
直明「僕のせいだ」
たかし「飯も満足に出てこないんだ。そりゃ逃げるよ..
兄ちゃんは良い家に引き取られたって..」
はる「道男はねぇ名前の候補だったの
直道が生まれた時ね..
だからほっとけなかったのね、
とにかく、何かしてあげたかったのよ..
勝手に息子と重ね合わせたのは私なのに、
道男にあんな目を向けてしまうだなんて...」
はる倒れる。
ひとり 一人の心の世界は、イマだけでなく、過去からの、様々な出来事、それらの自分なりの受け止め などに歪められ、彩られて 創られていく。バラバラでもあり、混じり合いも しながら。
光