虎に翼27話(重遠の孫)
変えるというのは、容易ではない。当たり前だと思っている法律、習慣、価値観が間違っていると分かっていても、受け入れられない、変えられない。
それでもそれを引き剥がし、溶かし、新しく上塗りしていくしかない。
【法律】は人造物だ。けれど、【人造物】は、【無】から生まれる訳ではない。
成文法の基に、自然法が想定されている。
【習慣】【価値観】も、【無】から生まれる訳ではない。
【お茶くみ】は【習慣】だ。雲野の中に「女性蔑視」があるかも知れない。寅子の中に「拒絶」があるかも知れない。香淑の中に「思いやり」があるかも知れない。
否、【お茶を淹れる】という行為には、「そういったもの」全てが伴っている。あるいは、「そういったもの」に突き動かされて【お茶を淹れる】という行為がある。そして、寅子は「嫌々」淹れるかも知れず、香淑は「喜んで」淹れているのかも知れない。
お父さんの様な弁護士になりたい?否も応も、花岡次第。
自己信頼のなさが、「やっぱり凄いな猪爪は」と出てくる。
「花岡寅子になっちゃえば?」
「彼女たちにはキツく言い聞かせますから」
【想念】が人の口を使っている⁇
「朝鮮人で、思想犯の疑いがある兄を持つ君を受からせる奴が何処にいる?」特高の「言葉」は、否応なく香淑の頭に侵入する。
「皆んなとこれからの女子部のために」
「今しかないぞ、朝鮮に帰るのなら」
【真心】にも
【背景】がある。
そして、困った事には
【特高】が【悪人である】
訳でもない。
光