見出し画像

虎に翼125話(重遠の孫)

航ー昭和25年あの判例を変更する時です。
尊属殺の重罰規定が違憲かどうか大法廷でいま一度判断を迫る時ではないでしょうか?」

桂場「これは駄目だ。
受理はできない。
尊属殺を扱うのは 時期尚早だ。
分かるだろう?」
(桂場は、いつも風見鶏?)

航一「なるほど 分かりました。いや やっぱり分かりません
時期尚早とは
つまりどういう事でしょうか」
(朋一が 後押し?)

桂場少年犯罪が急増し 道徳心の欠如家族崩壊が問題になっている今 君は冷静な議論がされると思うのか?」

航一「法は法 道徳は道徳だと思いますが?」

桂場「机上の理想論では な。
人は間違える。
だから法がある。
だから法について考える際に万全な時を選ぶ。
尊属殺の規定が違憲であるかどうかを問う裁判をするならばなおさらだ」

航一「反発は来るかもしれない。
でも たとえどんな結果になろうとも判決文残る
ただ何もせず
人権蹂躙から目をそらすことの何が
司法の独立ですか!」
(上辺は理屈の争いだが、中身はどうなのだろう)

航一 鼻血
寅子桂場さんが じきじきに手当てしてくださったんですね」

航一膝を借りてしまっていたようで、ありがとうございます」

寅子桂場さんも 立てます?
足しびれてませんか?」

桂場「君は 夫のことだけ心配したまえ」
(自閉)

寅子桂場さんは 若き判事たちに取り返しのつかない大きな傷を残しました。
きっと一生 許されない。
私は彼らには許さず恨む権利があると思う。
私自身 桂場さんに怒り 失望して傷つきもしました。
私が邪魔で面倒で 距離を置きたくても司法の独立のために共に最後まで
戦い続けるしかないんですよ」
(僭越)

桂場「なにを君は ガキのような青臭いことを」

寅子「あら 分かります?
実は私 一周回って心が折れる前の いぇ法律を知った若い頃の本当の自分に戻ったようなんです。
いや でも、どの私も私 つまり、全部含めてずっと私なのか。
とにもかくにもさすが桂場さんです」

航一「少しやけるな」
(羨望)

寅子「はて?やける?
何に?フフフ…
あっ そろそろしびれおさまりました?」

桂場「(尊属殺報告書) 置いていけ」
(僅かの感情の動きで、決断が変わる)
航一「では失礼します」

航ー「長官の膝の上で目が覚めた時から心が軽くなった気がします。
一区切りついたような…
あの戦争の でしょうか・・」

   ・・・・・

その後 最高裁は美位子の事件の 上告を受理することを決め
15人の裁判官による大法廷が開かれることに…

   ・・・・・


佐江子「私 森口美佐江の母です。
ずっと謝りたいと思っておりました。
美佐江は 死にました。
美雪が 3歳になってすぐ 車にひかれて、ここに 美佐江が最期に残した言葉が書かれているんです」

美佐江「私はたしかに特別だった。私が望めば全てが手に入った。全てが思い通りになった。盗みも体を売らせることもできた。
けれどこの東京で私は ただの女にすぎず、掌で転がす はずが知らぬ間に転がされていた。
次々に沸く予期せぬことに
翻弄された。身籠れば特別な何かになれるかと期待したが無駄だった。私の中に辛うじて残る『特別な私』が消えぬうちに消えるしかない。あの人を拒まなければ何か変わったの?あの人は私を特別にしてくれたのだろうか?」

寅子「あの日あと一歩だったのだ。それなのに・・・。それなのに私は…私のせいで…」
(あの時は、寅子扁桃体が、前頭前野を抑えたのだ。

美雪は、放免で良かったたのだろうか⁇?)

  ・・・・・

理性信仰」を止めねば成るまい。特に、人の行いを裁こうとする時。
人の行動の実相は、やっと少し垣間見えて来たばかりだが、それを参照せず横車を押しても、うまくは行かない。〈実相〉に合わせた仕組みが必要とされている。
          光

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?