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虎に翼110話(重遠の孫)

のどか「そういうところが
気が付くと
真ん中に 2人がいる。
お父さんも
百合さんも
お兄ちゃんも
み〜んな2人を見てる。

私の家は
にぎやかで明るい家じゃない。
別に仲は悪くないけれど
静かで ベタベタしない
干渉しない。
そういう家族なの!
私の知っているお父さんは
仕事第一
家族とのつきあいが
下手な人なの。
お祭りも海も行かないし
入学式の写真で
子供と手をつないだり
散歩に誘ったりしない!」

朋一「それは僕だって思った。
正直 嫉妬もした。
でも寅子さんたちが
母さん願い
かなえてくれてよかったって
お前言ったじゃないか」

航一願い?

朋一「お父さんを甘えさせてあげてって」
航一「2人に甘えることなんて
できなかった。
そんなことしたら気持ちがあふれてもう立ち上がれなかった。
きっと自分が壊れてしまっていた。
お父さんは仕事で
戦争のあることに携わって
ずっと自分を責めてきた。
だから お前たちとも距離を取って 全てを百合さんに
押しつけてしまった」

百合航一さん
押しつけただなんて それは違う
私はね 前の夫との間に子供ができずに役立たずだと
三くだり半をたたきつけられたの。
でもそのおかげで
あなたのような息子ができた。
かわいい孫たちができた。
神様が私にくれた時間だと思った。心から喜んで 2人を育てたのよ。
2人を 家族を支えることが
私の誇りなんです」

のどか「でも優未ちゃんの方がいいんでしよ?
いつも寅子さんと優未ちゃんといると、ニコニコしてる」
(のどかの劣等感 ひがみ)

百合「それはね寅子さんと優未ちゃんが私をたくさん褒めてくれるからうれしかったのよ。
やりたくてやっているから
褒められたくてやっている
訳じゃないけど
でも時々は褒められたいの。
のどかさんと一緒
私も自分を見てほしいのよ」
(さすが百合の観察眼)


寅子「最近よく
両親のこと思い出すの。
思えば私は 心行くまで「子供」をやらせてもらえた。
でも2人には…いや優末
"その時間"がなかったのよね。
時々は子供扱いさせて
くれないかな?」
(出しゃばり寅子)

航一それは..
僕がやるべきこと。

今日までのことは
それが 上手く出来なかった
僕の責任です」
(上手く引き取った航一)

寅子
「そうね。
そうなのよね。
そうだ 航ーさん。
お互い 少しだけ
家族のようなものを
お休みしませんか?
(寅子 名案)
先ずは家の問題を
解決してください。
ということで しばらく解散」

航一「何が 食べたい?」
(そう聞くの⁉︎ とは思うが、心は伝わったから、まあ良いか)

   ・・・・・

寅子「明日から産休ね。
ここまでよく頑張ったわ。
あなたも おなかの子も」

秋山「私 やっぱりここで辞めた方が良いんじゃないでしょうか?」

寅子「どうして?」

秋山「だって 怖いんです…
ここまでやってもらって
成果を上げられなかったらどうしようって。
こんな気持ちなのに。
佐田さんたちの期待
応えられる気がしなくて...」

寅子「そっか・・・そりゃそうよね。私が 秋山さんの何に期待しているか分かる?」

秋山「それは立派な裁判官として
女性の働く道を広げて
舗装していくことでは?」

寅子「それもある。
でも私が一番期待しているのは秋山さんが やりたいことを選択して進んでいくこと。
赤ちゃんを産んだあと 裁判官の仕事に魅力を感じなくなったり
お母さんに専念したくなったりするならばそれはそれでいいの。
ただ あなたの居場所はここにちゃんとある。
その選択肢があるって覚えていてほしい。
それだけなのよ」

秋山「どうして どうして
ここまで私のために?」

寅子「あの時 自分がしてほしかったことをしているだけ。
つまり 自分のために
やっているだけ
よ」

   ・・・・・

航一「無事にお子さんが生まれて
よかったですね」

朋一「それで 秋山さんは
裁判官に復帰はされるんですか?」

寅子「ええ そのつもりで
動いてはいるんだけど
保育所が決まらないみたいで。
私も知り合いを通じて
探してはいるんだけど...
あとは ベビーシッターを探すか」
のどか「そうなんですか」

百合「じゃあ私やろうかしら
ベビーシッター」

一同えっ?」
百合「皆さん おうちのこと
随分できるようになったし
それに お給金
頂けるんでしょう?」

寅子「ええ もちろんです!
えっ! でも いいんですか?」
百合「実は憧れだったのよ。
誰にも気を遣わず
自分のために使えるお金を持つことが。お給金が出たらじゃあ 皆さんにうなぎ ごちそうするわ」

一同うわっ!」
朋一「それ 自分のために使ってないでしよ」

寅子いいえ
これも自分のためなのよ。
ねっ お義母さん」

百合ええ

   ・・・・・

ひとり一人の心象世界は全く違って、本人から語られなければ、窺い知れない部分がある。
語ることによって共有もされ、昇華変容もする。
心象世界を共有して行くことで「家族のようなもの」になって行く のだろうか⁉︎
         光

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