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『鎌倉殿の13人』つれづれ

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2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を見てつれづれ思ったことを書きました。おもにあきれたこと。
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#源氏

「名こそ惜しけれ」は源氏じゃなくて平家の名台詞なんですが? ~NHK『新・街道を行く 三浦半島記』の鎌倉絶賛が疑問だらけだった件

私は鎌倉が好きで、奈良・京都も好きだ。 どちらも大好きだ。 だから、昨夜(8月6日)放送のNHK『新・街道を行く~三浦半島記』を見て、 中で朗読されていた故・司馬遼太郎の文章を聞いて、驚いた。 「鎌倉幕府がもしつくられなければ、その後の日本史は二流の歴史だったろう」 えっ。 奈良時代と平安時代、全否定? 「この時代から、日本らしい歴史が始まると、極論していい」 よくなくない?! 極論にもほどがありませんか? 司馬遼太郎をちゃんと読んだことがなかったのだけど、 そんな

壇ノ浦で平家が勝てなかった理由なんてとっくに『平家物語』の中に書いてあった(雑兵の目で見る源平合戦その1)

『鎌倉殿の13人』のひどさにあきれたのがきっかけで、 ドラマじゃない歴史番組を見るようになった。 そして分かったのは、 ドキュメンタリーも、ドラマと、けっきょく同じだということだ。 はじめにストーリーを立てて構想する。 そのストーリーが、偏っていない保証はない。 以前ここにいったん挙げた記事で、じつは削除したものが1本ある。 末尾でNHKの大河タイアップと目される歴史番組をお勧めしてしまったのだが、その後お勧めしたことを後悔したのが、削除の理由の一つだ。 「歴史探偵『源平

義経は卑怯者?(雑兵の目で見る源平合戦その2・前半)

さて、前回積み残した、 旧説2:義経が「卑怯にも」「非戦闘員である」船の漕ぎ手たちを射殺させたため、 平家は負けた。 という俗説についてなのだけど、 書いているうちに、途中でばからしくなってきた。 どっから出てきた話でしょうね。 とっくの昔に一笑に伏されたものとばかり思っていたのに、 驚いたことに、そうでもないらしい。 少なくとも『鎌倉殿の13人』は、そのトンデモ説まる呑みで書かれていたし、 前回から紹介しているNHKの特番「決戦!源平の戦い」 (または「歴史探偵『源平合戦

義経は卑怯者?つづき または、勝つことの意味(雑兵の目で見る源平合戦その2・後半)

前半はこちら。 その4 敵の後ろを襲うのは卑怯なのか特番「決戦!源平の戦い」。 あまりに平家愛がすごすぎて偏りまくってしまったNHK大阪局のアツさ に感動した場面がもう一つあるので、それも書いておく。 壇ノ浦じゃなくて一ノ谷の話なのだが。 再現ドラマで、息を切らせて走って来た武士が知盛に告げる。(番組開始から1時間13分あたり) 「背後から源氏勢が!」 「何?!」と知盛。「背後から不意打ちとは。あり得ぬ。あり得ぬわ」 「九郎義経のしわざかと!」 「おのれ九郎、卑怯なり。こ