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『鎌倉殿の13人』つれづれ

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2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を見てつれづれ思ったことを書きました。おもにあきれたこと。
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#北条義時

続『鎌倉殿の13人』がクズすぎる件(あるいは、ウクライナのこと)

ずっとがまんしてきたが、もう耐えきれなくなったので書いている。 ようするに── 「人間として、これはやらないだろう」という最低ラインを踏みにじったのが、今回のロシアによるウクライナ侵攻だ。 ウクライナが核を放棄するかわりに不可侵条約を結んだはずではないか。 なのに平然と攻め入っている。 今回、ドラマの中で頼朝が上総介に対してした仕打ちは、これとまったく変わらない。 1ミリも感動できない。 ドン引きなだけだ。 フィクションだからと笑って見逃す人は、 フィクションの力を見く

『鎌倉殿の13人』は私たちの社畜魂をここちよく慰撫してくれるクスリだった

前回の投稿後、友人と 私「きっと最終回にさ、さんざん人を殺しまくって一人勝ちした義時くんが目に涙をためて 『俺の人生は何だったんだろう』 とか反省して、恋女房の八重さんに 『殿のせいではありません。殿はよくがんばりました』 って背中よしよししてもらって終わるんだよ」 友人「いやそれはさすがにクズ過ぎるだろ(笑)」 という会話を交わした。 2週間前のことだ。 そしたら、なんと昨日の回のラストシーンが 目に涙をためて反省する義時くんと、その背中をよしよしする八重さん だったので

『鎌倉殿の13人』の頼朝のキャラがブレすぎていて理解できない件

毎回驚かされてばかりの『鎌倉殿の13人』だが、 昨夜の壇ノ浦の回は斬新すぎて、声も出なかった。 まさかと思っていたら、そのまさかだった。 平知盛ぬきの壇ノ浦。 知盛ぬきの壇ノ浦なんて、 丸ビルのない丸の内、 みかんの乗ってない鏡もち、 いやむしろ、鏡もちに乗ってないみかんじゃないか。 あれはみかんじゃなく橙(だいだい)だというツッコミはこの際なしだ。 あきれるあまり、自分でも何を言っているのかわからない。 源平サーガ屈指の名場面、稀代の名台詞、 「見るべきほどのこと

もはや疑問しかない『鎌倉殿の13人』

あんまりばかばかしいからもう書くのは止めようと思っていたら、いまの大河ドラマの内容をまるっと信じているらしいまとめ記事を見つけてしまって、とほうにくれて、またこんな文章を書いている。 以前、 「亀の前のお家を義経がぶち壊したという史実はありません」 とはっきり書いてくれている歴史家の先生がいたのだけど、 本当に私なんかじゃなくプロの方がちゃんと釘をさしてくれないものだろうか。 義経の正妻が、義経を暗殺に来た刺客(土佐坊昌俊)を手引きした? 静御前に嫉妬して、彼女を殺させる

似すぎ。今の日本と『鎌倉殿の13人』

似てる。 似すぎ。 テレビの中に、まるごと今の日本。 烏帽子つけてるだけ。 風刺とはとても思えない。 「昔の人もバカだったんだよねー、僕らと同じで。あははっ」 という、ただ、上目線の現状肯定。 大の男が13人も集まってうだうだ評議する。 みんな私利私欲を言うから当然まとまらない。 出勤すれば職場で見られる風景そのままだ。 烏帽子つけてるだけ。 そもそも鎌倉幕府のおしごとって何? と思っていたら、 簡易裁判所、的なことらしい。 太郎と次郎が土地をとりあってどうたら言ってる

『鎌倉殿の13人』善児はどうでもいい

主人公って何だろう。 ヒーローでもヴィランでもいい。 ストーリーを支配してほしい。リードしてほしい。 それが主人公じゃないのか。 今年の大河の主人公は、ヒーローでもヴィランでもない。 何もしない。 人に言われたこと、または/そして、やらんでいいことしかしない。 見せ場がなさすぎる。 北条義時を、どういう人として描きたいの? 彼の何を描きたいの? それがいまだに見えてこない。 義時の見せ場を作る大きなチャンスが一つあったのに、逃した「三谷幸喜は伏線の回収がうまい」 って

『鎌倉殿の13人』小栗旬さんが痛ましくて見ていられない

小栗旬さんが好きだ。 小栗さんは『八重の桜』(2013)では吉田松陰、『西郷どん』(2018)では坂本龍馬を演じていた。 どちらも登場回は少ないながら、素敵だった。わしづかみ。 「この人をもっと見ていたい」 と思った。 俳優にとっていちばん大切なのは、そこだと思う。 演技が上手い、顔が良い、声が良い、いろんな褒め方があるけれど、ようするに、 「この人をずっと見ていたい、聞いていたい」 観客や視聴者にそう思わせたら、勝ちなのだ。 「この人が主役の大河を見てみたい」と思った

畠山重忠という生き方

『鎌倉殿の13人』、今日は良い台詞があった。 「自棄[やけ]ではない。筋を通すだけです」 「もはや今の鎌倉で、生きるつもりはない」 どちらも、死に臨んでの、畠山重忠の台詞だ。 この日が来るのを知ってはいたが、 私も正直、今夜、 殉死したい気分だ。 全キャラの中でいちばん好きな人が、死んでしまった。 それを演じてくれたのが中川大志さんという、全キャラの中でいちばんの美形だったことは、想定外のご褒美でありました。 だいぶ前から── もう今の日本で生きていたくない、と思

『鎌倉殿の13人』一家団欒はホラーじゃないのか

SNSでは昨夜(10月2日)放送の『鎌倉殿の13人』第38回、「時を継ぐ者」に大絶賛の嵐だそうだけど、 私は義時が泣き始めた段階で、いたたまれなくてテレビの前を離れた。 「父上が亡くなる時、手を握ってさしあげることができません」 いや—— しらじらしくないの、これ? その父を「泳がせ」「追いこんで」きたの誰だっけ。鼻かんだチリ紙みたいに稲毛重成を殺させて。 「すべては平賀朝雅のせい!」 じゃ最初に平賀朝雅殺しとけ。 史実だから変えられない、と無理やり自分を納得させようとし

オンブレブンビンバの偽善

みんな感動しているらしいから黙っていたけれど、 もう、書く。 もし、私の弟が、 私の息子を殺したら、 それも 「今はまだ何もやっていないが、将来何かやるかもしれない」 という程度の理由で殺したら、 ついでにちっちゃな孫も、 「もちろん今はまだ何もやっていないが、将来何かやるかもしれない」 という理由で殺したら、 私なら、 弟を刺して私も死ぬ。 少なくとも一生、弟と笑って食事はできない。 政子はできるらしい。 もし、私の父と義母が、 私の夫を脅迫して、私の甥を呪

義時の毒親が過ぎる(『鎌倉殿の13人』最終回大予想part2)

先週(10月23日放送、第40回「罠と罠」)、 義時がまた、とんでもないことを言いだした。 息子の泰時に向かって 「こうしてあらかじめ敵になりそうな人間を 全員殺しておくのも お前のためだ」 とかなんとか。 なんだそれは。 泰時自身はそんなことまったく望んでいないんだが。 むしろ激しく抵抗しているんだが。 毒親にもほどがある。 毒親だろう。 毒親以外の何ものでもない。 自分の不安神経症から来るストレスを、 欲求のままに解消。 盟友だろうが無実だろうがかまわず殺しまく

『鎌倉殿の13人』最終回大予想part3

最終回予想ver.0-3。 義時は姉、政子に毒を盛られる。 ふたりが差し向かいでなごやかに談笑しているところからスタート。 やがて政子から義時に椀が渡される。 義時は、その椀に毒が入っていると知りつつ、 知らぬふりで笑って受けとる。 椀を受け取った義時の手のアップ。 さすがに、ぶるぶるとふるえている。 飲み干す義時。じっと見守る政子。 やがて義時が血を吐いて倒れ、政子はわっと泣きだす。 政子「許して。 鎌倉を守るには、こうするしかなかったの」 義時、苦しい息の下か

まつりごとは誰の骸も必要としない

先週(10月30日放送、第41回「義盛、お前に罪はない」)、 義時がまた、おぞましいことを。 和田一族の乱。結果は北条の圧勝。 惨殺死体であふれる鎌倉の町を歩きつつ、涙を流す現・鎌倉殿=源実朝。 実朝「まつりごとというのは、かくも多くの者の骸(むくろ)を必要とするのか」 義時「鎌倉殿(=実朝)がお生まれになる前から、多くの者が死んでいきました。 それらの犠牲の上に、この鎌倉はあるのです」 ここだ。 半年前から私が、このダウナーなマガジンで言いつづけているのはここだ。

今年のまとめ今年のうちに ~『鎌倉殿の13人』最終回、わが相方の大予想が的中した件~

私事[わたくしごと]だが、しばらく入院していた。 そのてんまつはこの記事の最後に、そして別の記事に改めて書こうと思う。 ようするに軽く死にかけた。 さすがに集中治療室のベッドからスマホでぽちぽちnoteを書く力がなかった。 まあ今現在もベッドでぽちぽちではあるのだが(今週ようやく退院はしました)、note事務局さんから 「今年の活動をふりかえりませんか?」 「今月以内に記事を書くと、6ヶ月連続更新になりますよ?」 「書かないならこちらにも考えがありますが?」 と、いつもどお