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可燃性の煮こごり


コリコリ凝りこり、体が凝りかたまると
こころも頑なに、なるよね。

凝る、は
「こごる」とも読めるみたいで

【凝る】こ‐る、こご‐る

同質のものが寄り固まる。
(温度が下がって)、こり固まる。凝固する。


そういえば、と食べ物の煮こごりを思い出す。
さらには「疑い」の字にも近いとくれば
うーん、
あんまり体に保有したくない、ね。

そんな " 凝り " が
胸に体に重くのしかかってることを自覚した夜
とにかくほぐして頂こう、と私は決心した。



数年通ってる整骨院は、
引越して少し、遠くなってしまった。
(それでも、神戸〜京都の定期区間内では、あるのだけれど。)


なので、歩いていける整骨院を
直感で選んだ。

そこは
一人の女性が切り盛りする小さな店だった。

筋肉だけほぐしても根本は変わらないからと、
骨のひとつひとつ、
関節のひとつひとつを丹念に指先で辿って
私の、がちがちになった鎖を
" 解除 " していってくれた。


思えば
いつもの整体は15分程度。
軽くぽぽい、と近況を伝えあうように
" 馴染みの凝り " を流してくれる。

だけど、今回の整体は本気度が違った。

普段、座り仕事が多いんです〜 
とか
腰が疲れやすくって...
とか
そんな挨拶程度の情報提供すらできぬほど、
私は疲れていた。


しばらく体をほぐしてもらうと
すこし、らくに息ができるようになり
黙々と仕事に専念して下さる女性に、
声をかけたい、と思った。

そこで、


むすめが、じきに3歳で、
こんど、そこの神社で
七五三のお詣りをするんです。

と話した。

わぁ、娘さん3歳になるんですか、
それは可愛いでしょうねぇ。 

と言葉を返してもらった瞬間、
なぜだか涙がながれて、止まらなくなった。

お店の方はたいそう驚いただろうに、
そんな様子はおくびにも出さず、


こんなにお母さんが頑張ってること、
娘さんはきっとよく分かってくれてますよ。


と、施術をつづけてくれた。

仰向けのまま、
ただダラダラと涙だけ流して
髪がそれを吸い込むに任せて、
しばらく私は、脱力していた。

ほぐしてもらって、
お白湯をいただき、
二言 三言、言葉を交わし
お礼をのべて帰宅して
夫とむすめと、お昼をたべた。

交わした言葉は少なかったけれど
背中に触れる手から、優しさが伝わってきたことを思い出す。


その女性いわく、
凝った状態が体にとっての " ふつう "になると
体はその状態へ戻ろうとする、そうな。


そうじゃなくて、

" ラクな状態 " がふつうなんだよ、と
体に覚えさせてあげることが必要で

そうしていきたい...
と思った日の話でした。

煮こごりは、ポッと燃えてくれるもんかね。

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