型染版画・山のきつね
型染の技法で和紙に制作した版画作品です。
デザインをして、渋紙に型を彫り、和紙に糊を置いて、豆汁で溶いた顔料を定着させてから
水で糊を落として絵を作る技法です。
山の中に狐が一匹。日本昔話のような世界です。
個展でこの作品を観た人ほぼ全員がそう仰いました。
あのアニメのイメージもあるのかもしれません。
私は日本の山には気配があると感じます。
(海外の山を直に見た事がないので違いはわかりませんが)
神として見てしまうためでしょうか。
この狐のように山の中で独りで凛と生きているものに
どうしようもなく憧れます。
この作品は型染を始めた初期の頃に作ったものです。
同じ型で色を変えて制作もしますが、
この色の組み合わせがこの絵にはベストです。
狐の周りにある黄色と薄い赤の丸は狐の火でしょうか。
胡粉を使うなど、型染版画を始めるきっかけになった
岡村吉右衛門氏の作品に倣いました。
型染の型は、形と形がつながった状態で作る必要があります。
そのために「つなぎ」をつけますが、私はそれもデザインとして生かす方法を考えます。
技法の制約は作品の糧としてこそのものと思います。
私はひとつの型で様々な色を使って複数の作品を制作しています。
同じ絵とは言えませんので、厳密には「版画」ではないかもしれません。
エディション番号もふっておりません。
使う和紙はその時によって違います。
同じ作品は出来ません。
サイズ 254mm×251mm
素材 和紙、顔料
noteのお題 #404美術館 に参加してみます。
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